噂に違わずチケットを取るのが大変だったが、何とかオケピに行ける事に。ホール最上階最後列の席で、頭のすぐ上から天井が始まっている。初演の時もこのタイトルと内容に興味を惹かれ、ずっと気になってはいたのだが、結局行けずじまいだった。今回は内容をよりタイトに凝縮し、キャストも一部変更しての再演という話。三谷作品は、映画版『12人の優しい日本人』と大河ドラマ『新撰組!』こそ大好きながら、それ以外の映画(監督作)やドラマにはことごとく肌が合わない私だが、オーケストラ・ピットの中を描き、しかもミュージカルであるという点には、やはり非凡な才を感じる。 これが、観てみるとまあ楽しいこと。まず、元来あまり好きでなかった服部隆之の音楽がすごく良い。キラ星のごとき名曲が次々に歌われる。それに、映画作品ではあまりにも定石どおりのドタバタ型展開に閉口する三谷幸喜の台本・演出も、ここでは適度に意表を衝き、プロットの構成も多様で、最後まで大いに楽しんだ。もっとも、これで人物描写に『新撰組!』くらいの深い掘り下げがあればもっと胸に迫る感動もあったかもしれないが、そこまでやるとトータルの上演時間三時間では済まないかも。 大きな拍手を送りたいのは役者さん達。歌を本業にしていて当然うまい人、本業じゃないのにうまい人、アマチュア程度の歌唱力の人など、レベルは様々だけど、チームワークの良さは随一。三谷台本ではセリフも歌も、各俳優達がものすごいスピードでバトンを渡し合う場面が頻出するが、その息の合った絶妙のタイミングは、歌手や俳優の寄せ集めではなく、長年続いてきた劇団かと思えるほど見事。日本の劇場で、何のためらいもなく即座にスタンディング・オベーションしてしまったのは、初めてかも。 |