ミュージカル ミス・サイゴン

作詞:アラン・ブーブリル、リチャード・モルトビー, Jr.

作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク

演出:ニコラス・ハイトナー

出演:知念里奈、石井一孝、橋本さとし、他

2004年9月20日 東京、帝国劇場

 ミス・サイゴンが日本初演から12年ぶりに再演されるというので、数年前にオープンしたディズニー・シーの見物も兼ねて東京へ。オリジナル・キャストのサントラを持っているので曲はよく知っているけど、舞台を観るのは初めてである。私の印象では、素晴らしいソングナンバーはたくさん入っているけど、同じ作曲家の『レ・ミゼラブル』に較べれば、ずっと普通のミュージカルという感じ。レ・ミゼは作曲者の母国フランスのお話で、シャンソンの伝統をも感じさせる驚異的傑作だと思うが、『ミス・サイゴン』は戦時のベトナムが舞台で、アメリカン・ポップスを基調にアジア風の音階を盛り込んだ音楽構成で、これは他の作曲家でも書けるかな、という気がする。それでも、大好きなナンバーがたくさんあって、数多いミュージカルの傑作の中では、やはり最も好きな作品の一つだけど。

 演出は映画やオペラでも活躍中のニコラス・ハイトナー。装置を担当したのが『キャッツ』や映画『フック』のジョン・ネイピアで、舞台美術がもの凄い。まるでベトナムをテーマにしたレヴューの雰囲気で、派手で、見栄えがして、とにかく大規模。巨大なホーチミン像や旗、キャデラック、ラストにはヘリコプターまで登場する。一方、大きなうねりを持つ感情のドラマはひたすら激しく、哀しく、こういう舞台はやっぱりかっこいいな、と思う。

 俳優さんは、劇団四季などと違ってマイクを通さず、ちゃんと地声で歌っていてさすがだが、やっぱり日本人は身体的な問題か、体全体が鳴らないというか、声が豊麗に響かないというか、大きな声は出ても線が細く、金属的な響きになってしまうのが残念。ディズニー・シーのミニ・シアターで観た無名の外国人シンガー達は、そういう問題をいとも簡単にクリアして朗々と美声を響かせていた。骨格や身体の造りが違うとこうまで影響するのかと、なんだか悔しかった。

まちこまきメモ

 知念ちゃんが、細い体で熱演してたな〜。

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