ミュージカル レ・ミゼラブル

作詞:アラン・ブーブリル

作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク

演出:トレヴァー・ナン

出演:マルシア、森公美子、他

2005年5月3日 東京、帝国劇場

 レ・ミゼラブル再演は関西公演が行われない(*随分後になって大阪公演が行われました)という事で、昨年秋の『ミス・サイゴン』に気をよくし、近年オープンした六本木ヒルズ見物も兼ねて再び東京へ。レ・ミゼは昔、初めて行ったロンドンで観て、言葉はほとんど分からないのに大泣きして以来、今でも、好きなミュージカル個人ベストテンの堂々第1位だ。最初から最後まで、とにかく泣きっぱ。数年前の再演で日本語版を初めて観たので、今回が三回目のレ・ミゼ。もっとも、日本語版は歌手の声量にどうしても限界があるのと、会場が広過ぎて一体感が出にくいので、本場ウェストエンド版ほどの大感動にはなかなか至らないのも事実。

 それにしても、これは奇跡のような傑作だ。聴き手の胸ぐらを掴んで離さない、エモーションがたぷんたぷんに漲った音楽と、スケールが大きく、絶妙にかっこいい舞台装置と演出。トレヴァー・ナンは、英国演劇の最高権威ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの芸術監督だが、『キャッツ』とこの作品の演出で、ミュージカル界においても希代のエンターティナーの資質を示したと思う。透明の幕に投影される映画風の字幕、回転する舞台、上方スペースを活用したスケール感満点のセット美術、バリケードの若者達が銃弾に倒れる場面のドラマティックなスローモーション、河に身を投げたジャベールが渦に飲み込まれてゆく場面、そして、客席に向かって力強く行進してくる群衆たちの描写。

 これら総てが視覚的に強烈な印象を残しながら、それでいて、聴いているだけで目頭が熱くなるクロード=ミッシェル・シェーンベルクの音楽と、あまりにも感動的なヴィクトル・ユーゴー原作の物語を、少しも邪魔しない。ミュージカル・ファンを自称できるほどたくさんの作品を観てきたわけではないが、これは紛れもなく現代ミュージカルの最高傑作の一つと言い切れる。ロンドンに行った人は、ぜひウェストエンドでこの作品を体験して欲しいと思う。

まちこまきメモ

 大学の卒業旅行で行ったロンドンで、レ・ミゼのチケットが取れたにも関わらず、ほとんど爆睡していてワンシーンぐらいしか見ていなかった。全く罰当たりなヤツである。今回はそのリベンジと思っていたのだが、どうも頭痛に悩まされ、爆睡は免れたが、集中して見ることができなかった。レミゼとよっぽど相性が悪いのだろうか。

 そんな私にレ・ミゼを語る資格はないが、この舞台のために、こんなにたくさんの名曲が生まれ、今も世界中のあちこちで上演され、歌い続けられていることに、改めて深い感動を覚えた。この素晴らしさに世界中の人がとっくの昔に気付いてたのに、私ったら、寝ていてそれに気付けなかったなんて! たくさん印象に残る場面があったけど、ジャベールが河に身を投げて、渦に飲み込まれてゆく場面が、ズキズキする頭に強烈に残った。

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