“人気の名作も収録、内容充実のチェコ・アニメーション傑作選” |
『チェコアニメ傑作選 1』 |
|
チェコ共和国(旧チェコスロヴァキア)は、人形劇の伝統もあり、昔から特に人形アニメーションが盛んな国です。その発展を担ったイジー・トルンカやカレル・ゼマンなどの巨匠は、みな単独で作品集のDVDが発売されていますが、そこまで有名でない人や、もう少し若い世代のアニメ作家達の作品がみられるのがこのディスクです。いずれも個性的な作品が揃っており、イジー・バルタやブジェチスラフ・ポヤルなど、既に人気の高い作家のアニメも多数収録されていて、チェコアニメのファンなら1、2共に必見のDVDと言えるでしょう。以下、収録作をご紹介します。 |
|
*ヤロスラフ・ザフラドニーク |
『粘土』(1972) 4分 |
余りの粘土が自ら意志を持って動き出し、造形芸術家と格闘するというコミカルな小品。実写とクレイアニメを組み合わせたスタイルですが、俳優の動きも、コマ送りを使うなど映像的に多少加工されています。 |
|
*ヤナ・メルグロヴァー |
『ジェネシス』(1966) 6分 |
機械にコインが投入され、工場のようなラインでパーツごとに人間が組み立てられてゆく様を描いた作品。音楽、美術共に前衛的な作風で、個人的には特にチェコアニメらしい良さは感じませんが、実はこういう作品も結構作られているようです。 |
|
*イジー・バルタ |
『謎かけと飴玉』(1978) 8分 |
バルタのデビュー作。珍妙な動物(?)が飴玉をもらう為に謎かけに答えてゆくという、レリーフ(半立体)を使った短編。ニコニコ顔でうろちょろしているネコたちが可愛い。 |
『ディスクジョッキー』(1980) 10分 |
DJの日常生活を、円形のモティーフに着目して描写した異色作。お皿やコーヒーカップ、洋服のボタンからレコード盤まで、円の連続で全体が進行してゆく、モノクロながら極めてグラフィカルな短編です。 |
|
*ブジェチスラフ・ポヤル |
『魔法の森のお菓子の家』(1951) 18分 |
ヘンゼルとグレーテルのお話を下敷きにした、ポヤルのデビュー作。彼はイジー・トルンカ作品にも参加していますが、この時期のポヤル作品では、そのトルンカが美術を担当しています。トルンカ、ポヤルの個性が良く出た、絵本のような雰囲気も漂う一編。 |
『飲みすぎた一杯』(1953) 19分 |
立ち寄ったお店で結婚式に遭遇し、飲酒運転で夜道を疾走するバイカーの末路を描いた作品。スピード感溢れる描写が世間を驚かせ、ポヤルの名を一躍高める事になりました。飲酒運転はいけませんね。カンヌ受賞作。 |
『探偵シュペイブル』(1955) 22分 |
こちらも有名な作品です。探偵小説を読みふけり、息子の頼みも聞き入れない父親。彼はある晩、街に出た息子が父親や警官達をからかいながら逃げ回る夢を見る。ストーリーは単純ですが、真夜中の街のシュールかつ表現主義的な描写が独特で、子供が口ずさむ不思議なメロディと共にひどく印象に残ります。 |
『ロマンス』(1963) 14分 |
金持ちの男性と出会う度に相手を変えてゆく女性を描いた短編。ポヤルらしい、美しい色彩と造形感覚に満ち溢れています。次々と乗り物を乗り換える事で新しい男性関係を表現してゆくのも、ユニークなアイデア。 |
|
* * * |