読書好きの間で話題を呼んだ本です。雑誌等でも絶賛されていたのでご存知の方も多いでしょう。著者の華恵は、モデル/タレントのhanae*ちゃんなのですが、本書の出版に当たってペンネームを改名したそうです。彼女には既に『小学生日記』というデビュー作があり、こちらは私は読んでいないのですが、重松清が「小学生にしか書けないけど、小学生には書けない文章」と形容していて、なるほどと感心した覚えがあります。本書は正に、「15歳にしか書けないけど、15歳には書けないエッセイ集」だと言えるでしょう。 アメリカ人の父、日本人の母の元でニューヨークで育ち、両親の離婚を機に日本へやってきた彼女。まだ15年しか人生を歩んできていない著者が、波瀾も少なくない日常の中に細やかな愛情と幸せを見つけ出し、その時々の読書体験と共に豊穣なディティールに溢れた記憶を紡いでゆく様は、予期していた以上の大きな感動を呼びます。読書好きの人が本書に惹かれるのは、きっと、著者の初々しい感受性が、読書という行為に付随する幸福感や、特定の本にまつわる様々な思い出を、読者にもありありと蘇らせてくれるからかもしれません。SMAP流に言えば“僕の心のやらかい場所に”そっと手を伸ばしてくれる文章と言えるでしょうか。 各章はそれぞれ、一冊の本にまつわるエッセイという形を取っていますが、書き下ろしなので章の長さも色々だし、本についての話が中心になっていない章もあります。セレクトされた本も、幼稚園時代に図書館で読んだアメリカの絵本から、坪田譲治、重松清、山本文緒まで、なかなか個性的なチョイス。著者の年齢を全く考慮に入れなかったとしても、純粋に作家として、文章の素晴らしさは飛び抜けていると思います。私は多くの箇所で泣きました。著者自身が希望したデザイナーが担当した、挿絵と装丁も素敵です。 |