クラシックのオーケストラが映画音楽のサントラに参加するケースは、ロンドンのメジャー・オケを筆頭に数多くあり、一流指揮者がタクトを振るケースも、エイドリアン・ボールトによる『アラビアのロレンス』、サイモン・ラトルによる『ヘンリー五世』(バーミンガム市響)、『パフューム』(ベルリン・フィル!)など、例がない訳ではありませんが、このコーナーでご紹介する各ディスクはその逆のパターン。つまり、映画音楽を、サントラではなく独立した音楽作品として、クラシックのアーティストがレコーディングしたディスクです。 メータによる《スター・ウォーズ》は、恐らくその先駆的なディスクではないかと思うのですが、彼が《惑星》や《ツァラトゥストラはかく語りき》など、映画音楽との関連もイメージさせる曲でヒットを連発してきた事や、演奏しているのがハリウッドの街のオケである事を考えると、この企画には最適な人選だったかもしれませんね。若きメータが、持ち前のダイナミックな表現力で明快に音楽を展開している点は、当盤のきき所と言えるでしょう。注目は《未知との遭遇》組曲。こちらは、ジョン・ウィリアムズの映画音楽でも特に聴き応えのある作品だと思うのですが、《スーパーマン》や《ジョーズ》ではなく、この曲がチョイスされた事で、当盤の魅力はぐっと高まったのではないでしょうか。 |