ソロを弾いているハンナ・チャンは、デビュー直後から天才少女として話題を呼んだ韓国のチェリストで、この録音の時点でまだ15歳、しかも、デビュー時に共演したシノーポリとドレスデン・シュターツカペレが伴奏を担当しています。 ハイドンのチェロ協奏曲は、勿論2曲共、今更説明の必要もないほど素晴らしい作品ですが、演奏がまた、音楽する事の歓びに満ち溢れた、なんともフレッシュで生き生きとしたものになっています。彼女は、技巧的な非凡さは言うに及ばず、その、聴き手を魅了するつややかな美音と、作品を新鮮に蘇らせるしなやかな感性で、若手チェリストの中では頭一つ抜きんでている印象を受けます。シノーポリの演奏も、この指揮者の知的なイメージを覆すほどの柔らかさ、楽しさでソリストを暖かく包み込んでおり、ハイドンの作品が元々持っている、得も言われぬ幸福感と相まって、思わず、音楽っていいな、クラシックっていいな、と何度も心の中で呟いてしまうような珠玉の名盤となっています。 |