生粋のパリジャンで、都会的な洒脱さを持つ音楽をたくさん残したプーランク、個人的にも好きな作曲家で、こういうお薦めコーナーともなれば、ハイドンと同様、ちょっと外せない感じです。このディスクが発売された1999年は、プーランクの生誕100周年に当たり、他にも様々なディスクが企画されましたが、決定盤はやはりこのセットに尽きるでしょう。なにせ、彼の室内楽曲を網羅している上に、演奏者たちの顔ぶれの豪華な事といったらありません。パリ・オペラ座やベルリン・フィル、バイエルン放送交響楽団、パリ管弦楽団、フランス国立管弦楽団といった一流オーケストラの首席を務め、ソリストとしても名の売れている人が並んでいるばかりか、ベルリン・フィル最年少のコンサートマスターとして話題を呼んだコーリャ・ブラッハーや、ソロ・アルバムも十分に売れているエマニュエル・パユのようなスター・アーティストまで参加しています。 じっさい、彼らの生気みなぎる爽快な演奏ぶりは又とない聞き物ですが、こうやって全貌が明らかになったプーランクの室内楽の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいものがあります。不思議な魔力で聴き手を誘惑するフルート・ソナタから始まって、旋律美に溢れるヴァイオリンやチェロのソナタ、崇高な美しさと詩情が魅力のクラリネットやオーボエのソナタから、ストラヴィンスキー的な色彩感も垣間見える管楽器のみのソナタなど、単に軽妙洒脱というに留まらない多様な作風にも関わらず、プーランク一流のハイセンスな仕上がりで一貫している所は瞠目に値します。このアルバムをきっかけに、もっと頻繁に演奏されるようになればと、心から願います。5分〜20分程度の短い曲がほとんどですが、1曲ずつきいてもちゃんと充実感があって、同時に、BGMにかけても心地よい軽さがあり、これは、あまりクラシックに馴染みのない人でも親しめるアルバムではないでしょうか。私も、時々CD棚から取り出してきては、日に一曲ずつとか、大切にきいています。 |