“次から次へと魅力的な曲が‥‥嬉しくなるほど多彩なシャブリエの小品集”

シャブリエ / ピアノ作品集 〜 絵画的な10の小品

 アンジェラ・ヒューイット(ピアノ)

(録音:2004年  レーベル:ハイペリオン)

 シャブリエのピアノ曲は一体どのくらい聴かれているのでしょうか。少なくとも、名の知れたピアニストによるシャブリエ・アルバムというのは、まるで見かけないように思います。ありていにいって、私などは狂詩曲《スペイン》以外ほとんどシャブリエ作品を知らないというのが本当の所ですが、このディスクには目からうろこが落ちる思いでした。何しろ、次から次へと魅力的な音楽が耳に飛び込んでくるので、嬉しくなってしまいます。

 まずは、シャブリエと聴いてすぐに思い浮かぶ、軽妙洒脱なフランス風の曲は、ちゃんと入っています。それで、ここからが意外なのですが、ほとんどバッハを思わせる整然とした音楽とか、シューマンやショパンに近いような、ロマンティックで、時に物悲しくもあるメロディアスな曲が、かなりの確率で入ってきます。これらは実に親しみ易く、一度聴いたら耳から離れないような個性的な旋律を持っていたりもするのですが、こうなると、これほど素晴らしい作品の数々がほとんど演奏されないという事が、不思議で仕方なくなってきます。全く、どうしてなんでしょうね。

 アンジェラ・ヒューイットはクープランやバッハ弾きとしての印象が強いのでバロック寄りの人と思いがちですが、実はラヴェルやメシアンなど、フランス音楽も得意としています。彼女ほどの才人が、こういうマイナーな作品を生き生きと演奏してくれるのはとても有り難い事です。メジャー・レーベルもこういう企画にどんどん乗り出して欲しいものですね。ファツィオーリのピアノを使用、イタリアのグランド・ホテルで録音されている所もユニーク。こういうディスクの場合は日本語解説付きの国内仕様盤が助かりますが、入手しにくいようです(少なくともアマゾンでは見つかりませんでした)。一応輸入盤のリンクを貼っておきます。

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