80年代初頭、このアルバムを引っさげてレコード界を大いに賑わせたパニアグワ先生。この後も15、16世紀スペインの民衆歌集『ビリャンシーコ』、舞曲集『ラ・フォリア』『タランテラ』など次々にユニークな企画を発表して話題を呼びましたが、最もインパクトがあったのはやはりこの『古代ギリシャの音楽』です。私は古楽には全く疎いリスナーですが、パニアグワが面白いのは、アカデミックな研究に徹するのではなく、資料が断片的にしか残っていない事を逆手に取り、自作の曲なども加えて、あくまでファンタジーとして想像の古代ギリシャ世界を作り上げている所です。ブックレットには詳細な使用楽器リストが載っていますが、当時の楽器を再現する事だけにこだわらず、現代のアイテムや楽器ではないようなものまで使っていたりして、遊び心にも富んでいます。ここまで来ればもうノン・ジャンルというか、クラシック・ファン以外の人も、当盤を聴いて古代ギリシャの世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 彼のアルバムは大体みんな一度CD化されたようですが、現役盤は少なく、中古盤もプレミアが付いている模様。輸入盤で入手するのも一手です。当時は録音の優秀さでも話題になったシリーズですから、新しいメディアでまた再発売されるかもしれません。 |