スメタナのピアノ曲、それもポルカ集だなんて、いかにも珍しい感じがしますが、スメタナが生涯に完成させた300曲の作品の内200曲はピアノ曲で、その内、少なくとも30曲にポルカという題が付けられているそうです。バッハ弾きからシューベルト、ベートーヴェンと着実に巨匠の道を歩み続けるシフがこんな小品集を、というのも珍しいですが、考えてみれば彼は東欧出身の人ですから、チェコの作曲家に親近感を持っていたとしてもおかしくありません。 収録曲リストを見ると、単にポルカと名付けられた曲もあれば、サロン・ポルカ、詩的なポルカ、ポルカ形式によるボヘミアの思い出など、多彩なタイトルが並ぶ全14曲。思ったほど民族主義的な作風ではなく、ショパン風に洗練されていたりしますが、どれも親しみやすいフレーズが印象的な、美しい作品ばかりです。いわゆるヨハン・シュトラウス的な、テンポの速い軽快なポルカを想像していると肩すかしを食らうかも。シフの弾くベーゼンドルファーの音色のせいもあってか、全体に、おだやかな叙情と気品の漂う大人の味わいです。しかしラスト、作品13の第2番は、暖かな情感の中に何ともいえない郷愁の色が加わって情熱的に盛り上がる、非常に印象的な逸品。 |