“シャハム兄妹が亡き父に捧げる、親密で懐かしいドヴォルザーク作品集”

ドヴォルザーク・フォー・トゥー

(ヴァイオリン・ソナタ、4つのロマンティックな小品、ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ)

 ギル・シャハム(ヴァイオリン) オリ・シャハム(ピアノ)

(録音:1995年  レーベル:ドイツ・グラモフォン)

 艶やかな美音と颯爽たる音楽性で注目される若手ヴァオリニスト、ギル・シャハムは、これ以前に《パガニーニ・フォー・トゥー》《ピアソラ・フォー・トゥー》という小粋なデュオ・アルバムを発表していますが、この第3弾では妹のオリ・シャハムがピアノを担当した事で、よりインティメイトな暖かさを感じさせる、楽しいアルバムになっています。

 ドヴォルザークは、室内楽の分野にも相当な数の作品を残していますが、当ディスクは、その中でも特に愛らしい風情を持つ《ソナチネ》と《4つのロマンティックな小品》に、ヴァイオリン・ソナタを加えた構成になっています。どの曲にも、ドヴォルザーク特有のノスタルジックなボヘミア民謡風メロディがきかれる他、渡米時代に書かれた《ソナチネ》には、新世界交響曲などと同様、黒人霊歌の影響を受けた旋律も頻出します。どの作品も大変魅力的で、もっと広く演奏されてもよいのではと思われますが、それもひとえに、シャハム兄妹の親密で息の合った演奏のおかげとも言えるのでしょう。

 実は、この兄妹が初めて二人で演奏した曲が、この《ソナチネ》なのだそうです。誰かから貰ったこの曲の楽譜を見て、二人共その虜になり、早速演奏しはじめた所、父親が部屋に飛び込んできて「なんてきれいな曲なんだ!」と大騒ぎになったというのです。その思い出故か、当アルバムは亡き父親に捧げられているという事です。

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