京都コンサート・ホールは初めて。建物外観も、入館してから劇場入口までの螺旋状のスロープも面白い、なかなか斬新な建築デザインのホール。内部は、オケの背後にもぐるりと座席があるタイプで、私達は正面から見てオケの左側、パーカッションの真上の席。 ベルティーニという指揮者は、名前は勿論知っているが、一度も演奏をきいた事がない。都響には好感をもっている。LP時代には、アツモンやフルネの指揮によるデンオンの都響シリーズをよくきいていた。前半の《さすらう若人の歌》は、歌手や指揮者について論じられるくらい多くの演奏をきいた事がなく《巨人》と共通の音楽素材が登場する、というくらいの知識。我ながら、クラシック・ファンの風上にも置けぬと思う。ベルティーニは、もっと長身ですらっとしたイメージがあったが、実際に見るとずんぐりした感じ。指揮台の上では老教師みたい。 《巨人》は大好きな曲。ディスクはたくさん持っているが、未だにCD化されていないマゼール/フランス国立管弦楽団のCBS盤が一番のお気に入り。オーケストレーションが精緻なので、さすがに日本のオケの生演奏できくと、都響と言えどもアラが目立つ。普段CDで聴いているような演奏は、いかに技術的にハイレヴェルであるかを痛感。傷なしに演奏するだけでも大したものなのだから、そういうディスクに「どこにも傷はないが、優等生的でつまらない」なんて評を書いてはいけません。ちなみに第1楽章主部のテーマ、CDでこの曲を予習した妻が「ディズニーランドの音楽と似ているね」なんていうものだから、私まで条件反射でディズニーを連想してしまう。 ロシア風スタイルなのか、第1楽章やフィナーレのクライマックスなどで、弦がみんな上げ弓で弾いた後、そのまま弓を宙にかざして終わるのは、見ていて壮観。すごく興奮する。第3楽章の最後、ティンパニの歩みが段々弱くなって消える所、奏者様の気が緩んだのか、ラストの一、二音がちょっと走った。こういう箇所は最後まで気を抜かずにやって欲しい。奏者様の表情も、最後まで叩かない内に既にやり切った感が出ていた。ちなみに、このホールの音響については諸説があるが、この席できく限りにおいては、結構いい音ではないかと思う(正面前列よりも、他の安い席できく方が音がいいという風説あり)。 |