西本智実 指揮

大阪フィルハーモニー交響楽団

曲目

チャイコフスキー/幻想序曲《ロミオとジュリエット》

プロコフィエフ/バレエ音楽《ロミオとジュリエット》より

2005年2月5日 神戸、ポートピアホール

 数ヶ月前に同じ指揮者のベートーヴェンを神戸できいたばかりだが、今回も何の因果か再び神戸。色々な買い物もついでに出来るのがいい。風邪をひいてしまったが、咳は出ないので行く事にする。微熱に浮かされ、意識朦朧としながら神戸へ。妻によれば、ポートピアホテルに隣接したホールなので、三宮の駅前から出ているホテルの無料シャトルバスで行けばいい、自分も過去に利用した事があるとの事。そんな斬新な交通手段、今まで考えた事もなかった。目からウロコを落としながら喜び勇んでバス乗り場へ行くと、なんと大行列。こういう事は皆よく知っているんだねえ。二台ほど先行のバスを見送りつつ、やっと次のシャトルバスに乗り込み、なんとかギリギリで会場に到着。私達より後のバスに乗った人達は、開演に間に合わなかったのではないだろうか。

 プログラムを見ての通り、《ロミオとジュリエット》がテーマのコンサート。西本智実は同じ趣向のアルバムも録音しているので、お気に入りのモチーフなのだろう。どうせならベルリオーズもやれば良かったのになどと思ってしまうが、やはり、これでは全体の尺が短すぎるのか、休憩前に司会者を加えて指揮者のインタビュー・コーナーあり。プロコフィエフでは、ロミオとジュリエットのドラマに感情移入してしまって、振っていても「グッと来る」との事。

 演奏は、後半の方が俄然好調な印象。チャイコフスキーというのは、演奏によっては音が響かないというのか、こないだのヤンソンス/コンセルトヘボウの演奏会でも、前半のストラヴィンスキーに対して、後半の《悲愴》で若干響きが大味になる印象を受けた。今回もチャイコフスキーの方は、指揮者のアプローチにも情熱の拡散を抑制する傾向があるせいか、どこか目詰まりしたような響きで、もどかしい(そう聴こえたのは私だけ?)。

 ところが休憩を挟んで後半プログラム、《モンタギュー家とキャプレット家》の、あの爆発的な不協和音とそれに続く弦の精妙な和音に至って、目の前の靄が急に晴れたように、クリアなサウンドが展開。演奏のせいだけではなく、プロコフィエフのオーケストレーションがそれだけ精緻だという事だろうか。ストーリーを追う構成で選曲も良く、演奏も白熱。やはり西本智実はドラマへの適応性が強いというか、ベートーヴェンよりも、オペラなどの方がしっくり来る気がする。アンコールは《くるみ割り人形》から《花のワルツ》。チャイコフスキーつながりで妥当な線だ。

 帰りもシャトルバスの乗り場は大混雑なので、諦めてポートライナーで帰る。ここで、大事件発生。窓の外を見ていていやに煙が漂ってくるなあと思っていたら、何の事はない、前の車両から煙が出ていたのである。ポートライナーは無人のリニヤモーターカーなので、焦げ臭い匂いに気付いた乗客がインターホンで通報し、次の駅に緊急停車。ホームに降りてみると、辺りは騒然とした雰囲気で、向かいのホームの車両も停車。というか、全線ストップである(環状路線だから当たり前だ)。

 駅は神戸大橋のちょうど真ん中辺りで海の真上だが、歩道を通って三宮に戻る事ができる。待っていればいずれ代替バスでも来るのだろうが、この橋は前に散歩した事もあるので、徒歩で帰る事に。真冬の寒空の下、微熱に浮かされ、海風に吹かれながら、駅までとぼとぼと歩く。それにしても、モノレールやリニアはこういう時が恐い。近くの駅で停車したからいいようなものの、路線の途中で停まってしまったら、ドアの一歩外は地上十数メートルの中空で、避難出来るスペースが全くない。(*後で新聞を見たら、私達の乗っていた一つ前の車両の車輪か何かのゴムが焼き切れたそうな。原因は解明中。やはり代替バスが用意されたらしい)

まちこまきの“ひとくちコメント”

 クラシックに関わらず、映画館でもよくあることなのだけど、寒い季節は、暖かい会場に入って席に着き、ゆっくりしていると、どうもまったり眠たくなってしまう。この日も演奏始まってすぐに睡魔に襲われる。大好きな西本智実なのに! 大好きなプロコフィエフのロミオとジュリエットなのに! なので、今回感想は書けない。後で龍之丞氏に感想を訊きながら、今度からは、眠気覚ましのタブレットを忘れないようにしなくては、と思った。

Home  Top