シャルル・デュトワ 指揮

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

曲目

プロコフィエフ/バレエ《ロミオとジュリエット》より

ストラヴィンスキー/バレエ《春の祭典》

2005年11月12日 大阪、フェスティバルホール

 久々のフェスティバル・ホール。私達の席は、一階のほぼ最後列近く。天井が低い。安価な席ばかり狙う私達の場合、一階席で聴く事はあまりない。デュトワとチェコ・フィルという組み合わせの珍しさに、曲目も人気の近代曲2作品とあって、とんでもない盛況かと思いきや、案外ガラガラ。そう言えば、直前まで新聞広告が出ていたのを見た気もする。とは言ってもホールがデカイので、ザ・シンフォニーホールや京都コンサート・ホールのようには埋まりきらないのかもしれない。最前列ブロックの左右両サイドは、座席に覆いをかけて全く使用していない様子。一体どういう事なのだろう。

 このホールの音響はいつ来ても不満。とにかくデッドで響かない。自分達の拍手の音ですら、空間に吸収されてしまって、パチパチと虚しく聴こえる。チェコ・フィルのような、平素は素晴らしい音響を誇る名ホール(ルドルフィヌム)で演奏している団体は、何だか可愛そう。それでも、立派なプロコフィエフだ。乾いたサウンドの中から、なんとか暖かみのある響きが聴こえてくる。ただし、デュトワの抜粋選曲は個人的に不満。ロミオとジュリエット絶命の後、あのロレンス神父の慈愛に満ちた主題が流れてこないと、何だか救われない。特にブラヴォーの声もなく、普通の拍手。

 後半の《春の祭典》は、冒頭のファゴット・ソロの妙技に唖然。技術的にどうこうというより、ニュアンスの豊かさが凄い。こんなに表情を付けて歌わせるには、相当高度なテクニックが必要だろう。全体に、予想していた通りアナログ感満開の演奏で、時折オケの統率が乱れかける場面もあったが(客演だとさすがのデュトワもこうなりますわな)、この曲はこういう感じの方が絶対に面白い。完璧なデジタル型演奏では物足りない。ラストへ向かう迫力も相当なもので、印象としては、思っていたよりもずっと能力の高い近代的なオケという感じ。デュトワの指揮も、意外に激しくて鋭い。白熱して満場の拍手。やはりファゴット奏者には大きな喝采が送られた。いつかは、ザ・シンフォニーホールでチェコ・フィルを聴いてみたい。

まちこまきの“ひとくちコメント”

 プロコフィエフのロミオとジュリエットは、私のお気に入りナンバーなのだけど、以前、西本智実の時は、なぜだかぐっすり眠ってしまった。今回は、ちゃんと起きていようと気合いを入れていたせいか、ものすごく集中して最初から最後まで聴けた。う〜やっぱりかっこ良いよ。スパイ映画みたいだよ。プロコフィエフ。春の祭典を生で聞いていると、ジャングル・クルーズにのってるような気分になった。上手く言えないが、ジャングルの中をアトラクションで進んでる時の感覚が蘇る曲なのだ。デュトワのことは全く知らなかったけど、登場しておじぎをして演奏を始めるときから、演奏、そしてアンコールの時の対応などをつぶさに見て聴いていると、この人はものすごく色気のあるシャレた人なんじゃないかと感じとれた。後で龍之丞氏にいうと、まさに色気のあるシャレた演奏をする人と言われてるらしい。やっぱりなー。

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