■フランス

『北フランス 小さいまち紀行』

 編:土田陽介

 グラフィック社・1997年

 フランス北部のローカルな街を、オールカラーで紹介する紀行本。地域としてはパリ以北くらいの感じで、ノルマンディー、ブルターニュ、シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ロレーヌ、アルザス等の地方を回っています。文章と写真は項目によってバラバラのライターが担当。出版が古い事もあり、おしゃれな読み物ではないですが、あまり知られていない街の美しい風景を見られる点は稀少です。

 小さな街とはいってもドーヴィル、ルーアン、モンサンミッシェル、バルビゾン、ナント、ナンシーなど名の知れた街も多く紹介。ストラスブールのような小さいとは言えない街も入っていますが、思わず首を傾げるのは、パリにページを割いて、エッフェル塔やヴェルサイユ宮殿などの観光名所を普通に紹介している所。この本を読む人に、そんな情報いらないでしょう。

『旅のカケラ パリ*コラージュ』

 著:三枝克之

 角川書店・2002年

 項目ごとにパリで撮った写真を目一杯収集した、ものすごい本。電話、標識、自転車、窓、煙突、カップル、路上アーティスト、犬、石畳、ゴミ箱、パラソル、落書き、といった具合に細かくジャンル分けして、小さな写真をページ一杯ぎゅうぎゅうに詰め込んでいます。例えば食べ物一つとっても、野菜、果物、肉類、魚貝類、チーズ、エスニック食材など、細分化が尋常ではありません。

 フランスに関する本はあまりにたくさん出ているので、このコーナーでチョイスするのが難しい傾向もありますが、おしゃれなデザインよりもコンセプトと情報量で勝負する本書は、群を抜いてユニークな存在と言えるでしょう。

『パリのテラス』 『パリの子ども部屋』

『パリの小さなアパルトマン』、他

 著:ジュウ・ドゥ・ポゥム

 アシェット婦人画報社・2003年

 フランス/パリからスタートして、ヨーロッパ各国のホームスタイルを紹介するこのシリーズ。人気デザイン・ユニットの著者が知り合ったアーティスト達の住居を写真で紹介する所は共通です。デザイナー系の人達の家庭が多く、普通のサラリーマン家庭とは雰囲気も違うのでしょうが、普通なら垣間見る事のできない現地の人の生活、インテリアや内装の工夫などを窺い知る事が出来る所が魅力。オールカラー。

『フランスのかわいい本 #1』

 パロル社・2004年

 雑誌『SORTIE』の誌面で募集した読者投稿のかわいい物と、同誌取材時に見つけたかわいい物を集めた番外特集的な本。けっこう厚みがありますが、ほぼ正方形のミニサイズなのと、軽い紙を使っていて、手に取った感じも可愛いです。内容はオールカラーで情報満載。映画のワンシーンのような、レトロでロマンティックな写真も多く、おしゃれな写真集としての見応えもあります。

 項目はミディ・ピレネー、プロヴァンス、コート・ダジュール、ローヌ・アルプ、パリと、地域ごとに分けられていて、雑貨だけでなく、壁や床のモザイク、コクトーの壁画がある教会など、風景の写真もたくさん。ページのデザインや編集も素敵です。

『パリのおさんぽ』

 著:プロジェ・ド・ランディ

 竹書房・2004年

 脇道を幾つか選び、パノラマ写真のように写真を横へ横へと繋げて、通りのお店や建物を紹介するシリーズ。『ローマのおさんぽ』など続刊も出ていますが、本書が一番最初です。目次にもあるように、パリへ行った事のある人には行き当たりばったりのガイドブックとして、行った事のない人には行った気になるためのガイドブックとして、薦められています。

 誰も考えつかなかったようなユニークな切り口ですが、豊富な写真で情報も満載。観光名所はもういい、脇道をぶらぶらしたいという人には、最適なガイド本かと思います。オールカラーで横長サイズ。

『フランス バゲットのある風景』

 著:酒巻洋子

 産業編集センター・2006年

 同社のプチ・マニアックな旅の本、私のとっておきシリーズ第1回配本に含まれていた書籍。バゲットをテーマにしたユニークな構成ですが、紹介しているのはバゲットだけではなく、クロワッサンなど他のパンもありますし、チーズやワイン、バター、カフェオレの話題もあります。又、食べ物の話題で一色に塗りつぶす事がなく、街歩き、並木や家々の写真を集めたコーナーもあるなど、変化に富んだ構成で飽きさせません。

 しかし本書の最も顕著な特色は、写真が美しいこと。木漏れ日、夕日、逆光、路面の影、ローキーなど、光を印象的に捉えた撮影が素晴らしく、食卓のパンの写真もアイデア満載で非常にセンスが良いです。こういう本を出すような人は写真も上手な筈でしょうが、著者はその点、群を抜いて優れているように感じます。

『「フランスの最も美しい村」全踏破の旅』

 著:吉村和敏

 講談社・2009年

 フランス全土の田舎に点在する、小さくも美しい150もの村をオールカラーで紹介した写真集。「フランスの美しい村」協会が認定しているだけあって、その網羅ぶりは凄いですが、詰め込みすぎて各村に1ページしか当てていないのが残念。写真も小さなサイズが多く、本当に旅行しようという人には、この情報では足りないでしょう。その意味では、どちらかというと眺めるための写真集という感じでしょうか。どの村もいつか行ってみたくなるほど美しく、この本がなければ一生目にする事のなさそうな風景が満載。

『乙女のパリ 旅の地図本 歩いて巡るすてきなお店』

 著:まつはしゆか

 メイツ出版・2016年

 徹底してお店の紹介にターゲットを絞った、女子向けのショッピング・ガイド。人気の10エリアに分けて、詳しい地図で紹介しているのも親切です。雑誌の特集みたいな感じで、完全にお店紹介に特化しているので、写真などもみんな小さなサイズですが、オールカラーでにぎやかな紙面になっています。写真はきれいだし、ページのデザインもおしゃれなので、ただ眺めながら妄想ショッピングをするだけでも楽しい本。

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