ブレッカー・ブラザーズは、兄ランディと弟マイケルのブレッカー兄弟が結成したバンドです。1975年のデビュー・アルバム『ブレッカー・ブラザーズ』以降6枚のアルバムをリリース。1981年に活動停止、そして解散。1992年、11年振りに再結成し、2枚のアルバムを発表しています。2007年1月マイケル・ブレッカー死去。 1978年にリリースされたブレッカー・ブラザーズの4作目となるこのライヴ・アルバム(1曲目のみスタジオ録音)は、ブレッカー・ブラザーズが頂点に到達した、まさにその瞬間が記録されているアルバムと言っていいでしょう。緊張感あふれるシャープなメロディライン、ランディ&マイケルが繰り出す怒涛のウルトラ・ファンキー・エフェクト・ソロ、そしてテリー・ボジオの超パワフル・メガトン・ドラム・プレイ・・・その内容たるや、まさにこのアルバムのタイトル、『Heavy Metal Be-Bop』です! いや本当にピッタリのタイトルだと思います。このアルバムが最初のBB体験となった私は、ものすごい衝撃を受けてしまいまして、 ”続ヘビーメタルビバップ”を求めて他のアルバムも次々と聴いていくことになるのですが、結局これを超えるものは見つからず、自分の中では『Heavy Metal Be-Bop』こそがブレッカー・ブラザーズとなったのでした。 2曲目の《Inside Out》はシャッフルビートが気持ちいい曲。ランディ、マイケル、バリー・フィナティと続く3人のソロはそれぞれ聴き応えがありますが、その中でもランディのソロの部分はブルースのコード進行になっていて、こういうロックっぽいリズムとブルースのコード進行の上にジャズのインプロヴィゼイションが乗っている感じが気持ちよくて特に気に入っています。 3曲目の《Some Skunk Funk》はブレッカー・ブラザーズの代名詞とも言える曲です。この曲のテーマを初めて聴いたときは、ちょっと普通じゃなくて今までに聴いたことのない感じのメロディだったので、正直なところ何となく違和感がありました。この ”ちょっと普通じゃないメロディライン” というのがブレッカー・ブラザーズの大きな特徴のひとつでもあるわけですが、最初からしっくり来ていたわけではなかったんです。しかしなんだかわからない異様な緊張感の中で強烈なリズムやスピード感はガンガン伝わってくるし、そのテーマの先には怒涛のエフェクト・ソロが待ち構えているわけですから、もうそだけで十分過ぎるほどの衝撃でした。そしていつしかこの少し変わったメロディもカッコいいと思うようになっていたんです。 4曲目《Sponge》はこれまた奇妙なテーマです。ソロはランディ⇒マイケル⇒B・フィナティの順でグルグル回っていくんですが、ふた回り目の途中ぐらいからソロのバックで聴こえるテリー・ボジオのドラムがすでにハイテンションで「人がソロやってんのに、これほとんどドラム・ソロみたいになってもうてるやん」みたいなところもあったりとパワー全開です。このアルバムのドラマーに関してはフランク・ザッパ・バンドなどで活躍したロック系ドラマーのテリー・ボジオよりデニス・チェンバースやスティーヴ・ガッドなどのほうが良かったんではないかなどと思った時期もあったのですが、やっぱり彼でなければこの名盤は生まれなかったんだなというふうに今は思います。特にこの曲なんかでそのように感じました。なんかテリー・ボジオのことばかりになってしまいましたがもちろんソロもスーパーです。ランディのエフェクトのかかったクールなソロ、信じられないほどクリアな音色とタイトなリズム感で超テクニカルなフレーズを連発するマイケル。また、B・フィナティのギター・ソロ&カッティングも管楽器ふたりの間で効いています。 |