1台の列車で3つの物語を描く、カンヌ映画祭パルムドール賞監督達による共同監督作

明日へのチケット  (2005年、イタリア/イギリス

 

  監督:エルマンノ・オルミ、ケン・ローチ、アッバス・キアロスタミ

  脚本:エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ポール・ラヴァティ

  出演:カルロ・デッレ・ピアーネ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ

     シルヴァーナ・デ・サンティス、フィリッポ・トロジャーノ

     マーティン・コムストン、ウィリアム・ルアン

 ローマへ向かう国際列車に乗った、様々な国の乗客達。オーストリア帰りの大学教授、自己中心的な未亡人と付き添いの青年、スコットランドからサッカー観戦にやってきた三人の若者。同じ列車に乗り合わせた彼ら乗客達の人生が、微妙に重なり合い、交差してゆく。

 チェコのエルマンノ・オルミ(『木靴の樹』)、イランのアッバス・キアロスタミ(『桜桃の味』)、英国のケン・ローチ(『麦の穂をゆらす風』)という、カンヌ映画祭でパルムドールに輝いた経歴のある三人の監督が共同で演出にあたった本作。厳密に言えばオムニバスではなく“共同監督作品”となっていますが、登場人物が少し重なったり、背景に映ったりはするものの、物語は一応三つのパートに分かれ、それぞれ独立したエピソードになっているので、やはり形式としてはオムニバスに近いと思います。ただし、誰がどのパートを監督したかは明記されておらず(大体分かりますけど)、もしかすると三人の監督が全ての現場に立ち会ったのかもしれません。

 映画好きの間ではよく知られた名匠三人の演出は、どのパートも淡々とした調子で一貫していて、全体的な統一感はよく出ています。脚本も、明瞭な起承転結を持たないスケッチ風の作劇ですが、三つめのサッカー少年達のエピソードだけは単純な道徳話に陥りがちで、その上にラストシーンが「これで本当にいいのかな?」という、私にはどうも困惑してしまうような代物なので、パッケージに謳われているような“感動の物語”として万人にお薦めできるかどうかは難しい所です。むしろ、名監督達による滋味豊かな語り口を満喫したい作品ですね。

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