“オペラのアリアを題材に、10人の個性豊かな監督が競作” |
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アリア |
Aria |
1987年、イギリス (96分) |
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第1話『仮面舞踏会』 作曲:ヴェルディ |
脚本・監督:ニコラス・ローグ |
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第2話『運命の力』 作曲:ヴェルディ |
脚本・監督:チャールズ・スターリッジ |
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第3話『アルミードとルノー』 作曲:リュリ |
脚本・監督:ジャン=リュック・ゴダール |
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第4話『リゴレット』 作曲:ヴェルディ |
脚本・監督:ジュリアン・テンプル |
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第5話『死の都』 作曲:コルンゴルト |
脚本・監督:ブルース・ペレスフォード |
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第6話『アバリス』 作曲:ラモー |
脚本・監督:ロバート・アルトマン |
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第7話『トリスタンとイゾルデ』 作曲:ワーグナー |
脚本・監督:フランク・ロッダム |
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第8話『トゥーランドット』 作曲:プッチーニ |
脚本・監督:ケン・ラッセル |
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第9話『ルイーズ』 作曲:シャルパンティエ |
脚本・監督:デレク・ジャーマン |
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第10話『道化師』 作曲:レオンカヴァッロ |
脚本・監督:ビル・ブライドン |
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オペラのアリアを題材に、10人の監督が自由に発想したオムニバス。音楽はメインとなるせいか、セリフのないBGV的な作品が多いのは仕方のない所ですが、当時はMTV全盛でもあり、クラシック音楽でそれをやるというアイデアは、ユニークであったのかもしれません。曲のチョイスは、ヴェルディが多いのはいいとして、リュリやラモー、シャルパンティエとバロック・オペラが3作も入っているのは一般的ではないし、コルンゴルトのようなマイナーな作曲家が取り上げられる一方、王道のワーグナーとプッチーニが1作ずつというのは、やや偏った選曲と言えます。 |
曲の使い方は一様ではなく、アリア1曲をそのまま流す場合もあれば、一部を断片的に使ったり、歌劇全体のダイジェスト的なコラージュになっていたり、各監督の裁量に任せられています。個性豊かな映画作家が競作している一方、撮影監督のクレジットも要注目。カロリーヌ・シャンプティエ、オリヴァー・ステイプルトン、ダンテ・スピノッティ、フレデリック・エルムスといった人達が、(恐らくは)若手時代に起用されて腕を競っているのが壮観。 |
ちなみに各話を繋いでいる、オペラ座内部をジョン・ハートが歩き回る映像は、最後で第10話に繋がりますが、ハートが道化師のメイクを施し、舞台上でアリアを歌うというだけの内容で、繋ぎの場面も含め、特に見どころもなく、退屈に感じられます。 |
ローグ監督の第1話は、舞台を1931年ウィーンに移し、アルバニアのゾグ王暗殺未遂事件をコラージュ的に描いたもの。監督夫人のテレサ・ラッセルが男装で王を演じているのが、独特のテイスト。第2話は、『名犬ラッシー』のスターリッジが監督。ヴェルディのオペラとは全く無関係に、路端のメルセデスを盗んで暴走した3人の子供が事故を起こすまでを、モノクロの詩的な映像で描いた秀作です。 |
第3話はゴダール監督作で、音楽が途切れてまたフェイド・インしたり、朗読風のセリフを挿入したり、「またやってるな」という感じですが、今回はやや作為が目立って残念な仕上がり。トレーニング・ジムが舞台というのはユニークです。第4話はMTVの寵児で『ビギナーズ』の監督というテンプル監督らしく、アメリカB級コメディのテイスト全開。ビバリー・ダンジェロとバック・ヘンリー出演、どぎつい色彩で延々と二組のカップルの不倫を描きますが、曲と関係ない上、あまりに安っぽい内容で冗長。 |
第5話は『ドライビングMissデイジー』のペレスフォードが監督、若き頃のエリザベス・ハーレイが出演。美麗な映像によるコラージュですが、特に深みのある内容ではなく、ややCM的でもあります。第6話は名匠アルトマンが史実に基づき、精神病患者で埋め尽くされた客席を延々と映すという手法。皮肉が利いている所は彼らしいものの、描写が長すぎて単調に感じます。ロッダム監督の第7話は、オペラの設定を現代のラスヴェガスに移し、スタイリッシュな映像美で描いた傑作。演じるブリジット・フォンダは、これがデビュー作との事です。 |
第8話は奇才ケン・ラッセル篇。元々クラシック音楽や作曲家をよく取り上げる監督だけあって、お得意のいかがわしい映像センスで奔放なイマジネーションを展開。ジャーマン監督の第9話は、喝采を浴びる老いた歌姫と、彼女の若き日をモノクロのプライベート・フィルムで対比させた、詩情溢れる作品。後者を、後に演技派女優として脚光を浴びるティルダ・スウィントンが演じています。 |
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