■ルーマニア、クロアチア

『ルーマニアの森の修道院』

 著:Norica Panayota

 産業編集センター・2007年

 ルーマニアの山中に点在する修道院は、一般観光客や無宗教のルーマニア人家族も利用する宿泊施設。本書は、そんな修道院に魅せられた著者が、自らの旅を紹介する一冊です。しかしながら、なかなか面白そうだと思って本書を手に取った読者は、中身を読んでショックを受けるかもしれません。適当すぎる国民性、あちこち陥没している街路、町中に横行する賄賂、官僚主義的な公務員、治安の悪さ。このルーマニア、少なくとも本書出版の07年の時点では相当にメチャクチャな国のようです。

 それでも著者は、この国の素晴らしさに目を向けます。素朴で味わい深い雑貨や日用品、美しくのどかな風景、今に生きる伝統、とことん親切な市井の人々。ちょっとハードルは高いですが、アジアやインドなどの個人旅行に慣れた人なら、ぜひ行ってみたいという気になるかもしれません。構成は、前半がルーマニアの案内エッセイ、後半が修道院めぐりの旅日記。写真も豊富に収録しています。

 別項で紹介している『東欧ブルガリア・ルーマニアのなつかしいモノたち』も執筆している著者。毎日新聞北米総局インターン、英字記者を経て通訳・翻訳者になったという硬派な履歴の人ですが、それに似合わぬ若者言葉も盛り込んだ軽妙な文章はこういう本では珍しく、過酷な旅日記も楽しく読ませます。おすすめ修道院の情報も掲載。オールカラー。

『クロアチアの碧い海』

 著:大桑千花

 産業編集センター・2007年

 近年になって俄然注目を浴びはじめた旧ユーゴ諸国。特にクロアチアの人気は高いようですが、こういった旅エッセイはまだあまり出ていません。本書は、クロアチアの写真に関して定評のあるライター、フォトグラファーとの事で、当コーナーでも数冊取り上げている「私のとっておき プチ・マニアックな旅の本」シリーズに白羽の矢が立ったようです。

 タイトルや表紙からは海の美しさに焦点を当てた印象ですが、実際の内容は街や森林公園など、この国の魅力を全土に渡って広く紹介。著者は関西出身なのかどうか(京都に住んでいた時期がある旨、本文にみられます)、現地の人々の言葉を関西弁で訳すなど、ユーモラスで軽快な文章が魅力です。豊富な写真の配置も素敵で、最後には少しだけ日用品や雑貨なども紹介。オールカラー。

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