ガス・ヴァン・サントの映画を支えるスタッフ、キャスト達

 複数のサント作品に参加している人々を追ってみましょう。

《プロデューサー》

◎ローリー・パーカー

 『ドラッグストア・カウボーイ』『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』

 UCLAで映画製作を学び、配給等の映画ビジネスに関わった後、85年にアイランド・ピクチャーズへ移籍。製作やマーケティングに携わった後、アベニュー・エンターティメント社で『ドラッグストア・カウボーイ』の製作総指揮にあたり、続くサント作品をプロデュース。

◎ダニー・ウルフ

 『サイコ』『小説家を見つけたら』『ジェリー』『エレファント』『ラストデイズ』

 ジョージ・ワシントン大学とアメリカン大学パリ校を卒業後、アメリカン大学院で修士課程を修了。CM界に進出して初仕事は、ウェス・アンダーソン監督によるソニーDVDのCM製作。国際的な仕事も多く、ブラジルせ製作したジョン・ウー監督のナイキ『Airport』のCMはワールドカップ期間中に放映され、カンヌ広告祭で銀賞を受賞。エポック・フィルムズ、サテライト・フィルムズなど、複数の制作会社を運営。

 サントとの仕事は幅広く、詩人アレン・ギンズバーグをフィーチャーした短篇『Ballads of the Skeletons』(97年のサンダンス映画祭でプレミア上映)を製作して以降、CM、ミュージック・ビデオでも組んでいます。99年秋、サント初のデジタル作品で、ハーモニー・コリン脚本三部作『Jokes』の第1部となる短篇『Eraser』も共同製作。少人数で撮影された『ジェリー』三部作では、第1助監督も兼任しています。

◎クリス・ムーア

 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『プロミスト・ランド』

 89年以降、ハリウッドでプロデューサーとして活躍。他に『アメリカン・パイ』『レインディア・ゲーム』『アメリカン・サマー・ストーリー』『アジャストメント』など。

◎ジョナサン・キング

 『小説家を見つけたら』『プロミスト・ランド』

  MGM/UAのニューヨーク事務所で、書籍、芝居、インディペンデント映画を探す仕事から映画界でのキャリアをスタート。数々のプロダクションで、製作や経営に従事。ジェフ・スコールが社会をインスパイアする映画を製作する目的で設立したパーティシパント・メディアで、長編映画部門の責任者を務める。他に『マリー・ゴールド・ホテルで会いましょう』『ドリームガールズ』。『マダム・マロリーと魔法のスパイス』で共同製作を務めたスピルバーグとは、『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』でも組んでいます。

◎ジェイ・ヘルナンデス

 『ジェリー』『エレファント』『ラストデイズ』

◎デヴィッド・(アレン・)クレス

 『パラノイドパーク』『ファースト・キス』『永遠の僕たち』

◎ニール・コップ

 『パラノイドパーク』『ファースト・キス』

《撮影監督》

◎ジョン・キャンベル

 『マラノーチェ』、『ドラッグストア・カウボーイ』(特別協力)、『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』

 バークレー出身。75年、ポートランドに移り、TVニュースやドキュメンタリーの撮影を手掛ける。84年にフィルムのラボで偶然サントと出会い、仕事を辞めて『マラノーチェ』に参加。自分のバンに少ない撮影機材を載せ、皆が乗り込んだステーション・ワゴンと共にロケ地探しから交渉まで行うという映画作りを敢行。『ドラッグストア・カウボーイ』にも、特別協力に彼の名前がクレジットされています。リアクションが速く、サントが突然「今撮らなければ」と言い出しても、すぐに対応できる人との事。

◎エリック・アラン・エドワーズ

 『マラノーチェ』(追加撮影)、『ドラッグストア・カウボーイ』(セカンド・ユニット)、『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』『誘う女』『ファースト・キス』

 サントとは高校時代からの付き合いで、当時からお互いの写真の才能を認め合っていた仲。ロードアイランド・デザイン・スクール卒業後、ポートランドに戻り、映画の世界へ。モノクロ撮影の『Last Night at the Allno』が高く評価され、ニューヨーク・タイムズの映画評でも賛辞を受ける。

 サント作品には初期から関わり、映画以外にもCM、ミュージック・ビデオでも組んでいます。サントが製作総指揮を担当した『KIDS/キッズ』(ハーモニー・コリンの脚本)や『バージニア/その町の秘密』(『ミルク』の脚本家ダスティン・ランス・ブラックの監督作)も撮影。

◎クリストファー・ドイル

 『サイコ』『パラノイドパーク』

 1952年、シドニー生まれ。18歳でオーストラリアを離れ、世界を放浪した後、76年から台湾に在住。CM、TV、ドキュメンタリーの撮影を手掛ける。同国のエドワード・ヤン監督作品『海辺の一日』で映画デビュー。中国語を学んで香港に渡り、ウォン・カーウァイ監督と組んだ『欲望の翼』『恋する惑星』『天使の涙』で世界を席巻。カーウァイとは『楽園の瑕』『ブエノスアイレス』『花様年華』『愛の神、エロス』『2046』でも組み、中国でチェン・カイコー監督『花の影』、チャン・イーモウ監督『HERO』も撮影。写真家や映画監督、俳優としても活躍する多彩なアーティスト。

 ハリウッドではバリー・レヴィンソン監督『リバティ・ハイツ』、M・ナイト・シャマラン監督『レディ・イン・ザ・ウォーター』も撮影していますが、『サイコ』はハリウッドに一時期滞在していた際に関わった作品。よりサントの持ち味が出た『パラノイドパーク』では再度起用され、俳優として出演もしています。

◎ハリス・サヴィデス

 『小説家を見つけたら』『ジェリー』『エレファント』『ラストデイズ』『ミルク』『永遠の僕たち』

 1957年生まれ。ファッション・フォトグラファーとして出発し、ミラノ、パリ在住を経て故郷ニューヨークに帰還。レコード会社でジャケット撮影を手掛ける内、ミュージック・クリップも担当する事に。デヴィッド・フィンチャーとCMやMTVで仕事をした後、同監督の『セブン』でセカンド・ユニットの撮影を担当、『ゲーム』『ゾディアック』では撮影監督としてスタイリッシュな映像美を展開しています。他には、リドリー・スコット監督の『アメリカン・ギャングスター』、ウディ・アレン監督の『人生万歳!』、ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』など、幅広い作風で業界にユニークな地位を占める人。

 サントとは多くの作品で組んでいますが、『ジェリー』から続く実験的作風の三部作では、少人数編成の撮影現場で主導的な役割を果たし、アート系の映画作りも得意である事を示しました。2012年、惜しくも死去。

《プロダクション・デザイナー》

◎デヴィッド・ブリスビン

 『ドラッグストア・カウボーイ』『マイ・プライベート・アイダホ』

 経歴不詳。他に『地球が静止する日』『パッセンジャーズ』『トワイライト』『ニュームーン/トワイライト・サーガ』『フッテージ』『パワー・ゲーム』『誘拐の掟』など。

◎ミッシー(メリッサ)・スチュワート

 『ドラッグストア・カウボーイ』(セット・ドレッサー)、『マイ・プライベート・アイダホ』(セット・デコレイター)、『カウガール・ブルース』『誘う女』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』

 経歴不詳。他に『ラスベガスをぶっつぶせ』『男と女の不都合な真実』『PARKER/パーカー』『パワー・ゲーム』『マザーズ・デイ』など。

《衣装デザイナー》

◎ベアトリクス・アルナ・パスツォール

 『ドラッグストア・カウボーイ』『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』『誘う女』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『サイコ』

 ハンガリー、ブダペスト生まれ。靴工場で働いた後、応用美術アカデミーで舞台衣装デザインを学ぶ。卒業後は時代劇の舞台衣装などを手掛け、84年にニューヨークへ移住。ショー・ウィンドウのディスプレイや帽子のデザインを担当した後、ハワード・ブルックナー監督の『The Bloodhounds of Broadway』の衣装でショウビズ界デビュー。88年にサントと出会い、『ドラッグストア・カウボーイ』が成功したのを皮切りに、『フィッシャー・キング』『幸福の条件』などメジャー作品も手掛ける。

◎ダニー・グリッカー

 『ミルク』『永遠の僕たち』『追憶の森』『ドント・ウォーリー』

 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン在学中、映画『クイズ・ショウ』の衣装チームに参加。卒業後、本格的にショウビズ界の衣装デザインの道に進む。他に『オン・ザ・ロード』『トランスアメリカ』、ジェイソン・ライトマン監督との『サンキュー・スモーキング』『マイレージ・マイライフ』『とらわれて夏』など。『ミルク』でアカデミー賞ノミネート。サントが製作総指揮を担当した『バージニア/その町の秘密』(『ミルク』の脚本家ダスティン・ランス・ブラックの監督作)でも、衣装をデザインしています。

《編集》

◎カーティス・クレイトン

 『ドラッグストア・カウボーイ』『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』『誘う女』

 オクラホマ大学でドラマを専攻した後、南カリフォルニア大学シネマ・スクールで映画製作を学び、80年に卒業。サント作品の他、ガンズ・アンド・ローゼスやジョン・クーガー・メレンキャンプなどのMVも手掛ける。

◎エリオット・グラハム

 『ミルク』『永遠の僕たち』

 1976年生まれ。ニューヨーク大学で歴史を専攻して学士号を取得後、同大学の芸術大学院で映画を専攻。『ミルク』でアカデミー賞ノミネート。07年に『ザ・ハリウッド・レポーター』誌が選ぶ、“将来が嘱望される3人の編集者”に選ばれる。他に『X-MEN2』『スーパーマン・リターンズ』など。

◎ピエトロ・スカリア

 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、『プロミスト・ランド』(特別協力)、『追憶の森』

 イタリア出身。『JFK』『ブラックホーク・ダウン』でアカデミー賞を2度受賞。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『グラディエーター』でもノミネート。リドリー・スコット監督とのコンビ作が多いですが、他にもベルナルト・ベルトルッチ監督『リトル・ブッダ』『魅せられて』、サム・ライミ監督『クイック・アンド・デッド』、マーク・ウエブ監督『アメイジング・スパイダーマン』1、2など、幅広い作風を誇る人。

《音楽》

◎ダニー・エルフマン

 『誘う女』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『サイコ』、『パラノイドパーク』(特別協力)、『ミルク』『永遠の僕たち』『プロミスト・ランド』『ドント・ウォーリー』

 今やハリウッドで一、二を争う売れっ子作曲家ですが、本格的に映画音楽を担当したのはティム・バートン監督の『ピーウィーの大冒険』から。元々は多芸多才で知られたロックバンド、オインゴ・ボインゴのフロントマンで、作詞作曲のみならずメイン・ヴォーカルも担当。ホーン・セクションを率いた奇抜なアレンジが施された楽曲と、表現の幅が大きな彼の歌唱スタイルはまんま映画音楽の趣で、特に初期のアルバムは強烈なインパクトがありました(私も大ファンです)。

 このバンドのファンだったバートンは彼を抜擢。以後、バートン作品の色彩を決定付けるような音楽を提供し続け、ほぼ全てのバートン作品でコンビを組んでいます。他にも、『スパイダーマン』のサム・ライミの他、サントともコンビ作が多く、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『ミルク』でアカデミー賞ノミネート。

 『ドント・ウォーリー』の時には、「ガスのように関係の長い監督の場合、『脚本を読んでから興味があるかどうか連絡するよ』という対応はできないよ。ガスが新しい映画を始めると、他の予定が入っていない限り、彼の仕事は受けるようにしているんだ。ガスとの仕事は楽しいし、彼は僕がいいと思ったもの以上のアイデアを出してくれるからね。

 ガスとの仕事では、型にはまったセンスではテーマを考えないんだ。結果的に彼が後からミックスしてしまうからね。普通は特定のテーマを軸にし、主人公が映る時には彼らのテーマが演奏される。ガスはその方法をあまり使わず、1つの曲がそのシーンに合うと分かったら、他にその曲が合うシーンを探してゆく感じなんだ」と語っている。

 ちなみにオーケストレーションをずっと担当しているスティーヴ・バーテクも、元オインゴ・ボインゴのギタリスト。03年に女優のブリジット・フォンダと結婚していますが、『シザーハンズ』に脚本を提供したキャロライン・トンプソンと暮らしていた事もあるそうです。

《音響デザイナー》

◎レスリー・シャッツ

 『マラノーチェ』(リマスター版音響)、『ドラッグストア・カウボーイ』(特別協力)、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『サイコ』『小説家を見つけたら』『プロミスト・ランド』(リ・レコーディング・ミキサー)、『ジェリー』『エレファント』『ラストデイズ』『パラノイドパーク』『ファースト・キス』『ミルク』『永遠の僕たち』『ドント・ウォーリー』

 音響に関する仕事での参加は古い上に幅広く、古くはダイアローグ・エディターとして『地獄の黙示録』『ランブル・フィッシュ』『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』、リレコーディング・ミキサーとして『ランブリング・ローズ』『ゴースト』『スクリーム』、音響デザインではアカデミー最優秀音響賞にノミネートされた『ハムナプトラ』とその続編、『ドラキュラ』『ジャッジ・ドレッド』『エイリアン4』『イン・ドリームス』『ザ・グリード』など。

《キャスト》

◎ヘザー・グラハム

 『ドラッグストア・カウボーイ』『カウガール・ブルース』

 88年の『運転免許証』で本格デビュー。サントの『ドラッグストア・カウボーイ』で主人公の薬局襲撃グループの一人を演じて注目されますが、キャリアの転機は『ブギー・ナイツ』で演じたローラーガール。大ヒット作『オースティン・パワーズ:デラックス』ではヒロインとして出演、ベビーフェイスに似合わぬセクシー路線で活躍する一方、『フロム・ヘル』『キリング・ミー・ソフトリー』などのヒットを飛ばし、実力も示します。意外に思う人もいるでしょうが、TVシリーズ『ツイン・ピークス』にもレギュラー出演していました。サント作品では、『カウガール・ブルース』でもカウガールの一人で出演。

◎マット・ディロン

 『ドラッグストア・カウボーイ』『誘う女』

 64年、ニューヨーク生まれ。『レベルポイント』で主演して脚光を浴び、フランシス・コッポラに起用された二作『アウトサイダー』『ランブルフィッシュ』で絶賛される。サントの『ドラッグストア・カウボーイ』で演技派へ脱皮し、『死の接吻』『シングルス』『最高の恋人』などで好演。再びサントと組んだ『誘う女』で、敢えて底抜けに軽薄な男を演じ切ったのも、キャリアと自信に対する余裕の表れでしょうか。

◎ジェームズ・レマー

 『ドラッグストア・カウボーイ』『サイコ』

 目つきの恐い悪人面を生かして、アクの強い役柄をこなし続ける名バイプレーヤー。古くは『ウォリアーズ』『ロング・ライダーズ』『48時間』とウォルター・ヒル作品で台頭し、以後も『コットンクラブ』『ホワイトファング』『34丁目の奇跡』『勇気あるもの』『ジャッジ・ドレッド』『ホワット・ライズ・ビニーズ』『レミーのおいしいレストラン』『ジャンゴ/繋がれざる者』など、様々な監督の作品に出演。『SEX AND THE CITY』などTVシリーズへのレギュラー出演も多数あります。

 サント作品でも、『ドラッグストア・カウボーイ』で主人公を追い回す警部役で強い印象を残し、『サイコ』でもパトロールの警官役で出演。悪役じゃないのに、出演シーンのインパクトがやたらと強いのはこの人らしい所です。

◎ジェームズ・レグロス

 『ドラッグストア・カウボーイ』『サイコ』

 62年ミネアポリス生まれという以外、経歴不詳ですが出演作は多く、TVシリーズ『アリー・myラブ』のマーク役も人気。他に映画では、『ハートブルー』『シングルス』『バッド・ガールズ』『ゾディアック』『だれもがクジラを愛してる』など。サント作品では『ドラッグストア・カウボーイ』で主人公4人組の一人を演じ、『サイコ』のカー・ディーラー役でも登板。

◎ウィリアム・S・バロウズ

 『ドラッグストア・カウボーイ』『カウガール・ブルース』

 アレン・ギンズバーグ、ジャック・ケルアックと共に、ビート・ジェネレーションを代表する作家の一人。作品は『裸のランチ』『ジャンキー』など、映画化作品も話題。『ドラッグストア・カウボーイ』では麻薬中毒のマーフィ神父、『カウガール・ブルース』では本人役で友情出演。『エレファント』では、自身の朗読による『裸のランチ』の一節が音声で流れます。

◎キアヌ・リーヴス

 『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』

 カナダのトロント生まれ。ロスに移るまでは地元の劇場やTVで活躍、『リバーズ・エッジ』で脚光を浴び、『ビルとテッドの大冒険』『危険な関係』『バックマン家の人々』『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』と一貫してアウトローな変人を演じる。

 無表情だとアンドロイドっぽく見えるルックスもあって、『ハートブルー』『ドラキュラ』『リトル・ブッダ』『スピード』『マトリックス』などで主演スターになった後も、サム・ライミ監督『ギフト』、ケネス・ブラナー監督『から騒ぎ』など、悪役や暴力的な役柄に不気味なセンスを発揮。『カウガール・ブルース』でも先住民の血を引く喘息持ちのアーティストを演じ、ぬめっとした風貌で登場した瞬間にぎょっとさせられます。

◎ウド・キアー

 『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』『ドント・ウォーリー』

 ドイツのケルン出身。10歳の時にフランスへ移住し、英語を学ぶためイギリスに行った事がきっかけで映画の世界へ。『悪魔のはらわた』『処女の生血』『O嬢の物語』『サスペリア』など主にモンド系ホラーで活躍しましたが、サント作品『マイ・プライベート・アイダホ』でドイツ人男娼客を演じた辺りから国際的な知名度も上昇。

 『バラ色の選択』『エース・ベンチュラ』『JM』『ブレイド』『エンド・オブ・デイズ』などの他、『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー監督作にはほぼ全て出演しています。サント作品では、『カウガール・ブルース』のCM監督、『ドント・ウォーリー』の禁酒セラピーの参加者ハンス役で再登場。

◎スコット・(パトリック・)グリーン

 『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』『ラストデイズ』『パラノイドパーク』『ミルク』

 サントの古い友人との事。『マイ・プライベート・アイダホ』でカヴァー・ボーイとカフェ・キッズの一人としてエキストラ出演、『カウガール・ブルース』では車に乗った旅行者カップル、『ラスト・デイズ』では主人公の家に居候している若者の一人、『パラノイドパーク』では主人公を貨物列車に誘う男、『ミルク』ではハウス・ボーイで出演。

 スタッフとしては『マイ・プライベート・アイダホ』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『ミルク』でサントの助手、『マイ・プライベート・アイダホ』『エレファント』『ラストデイズ』『パラノイドパーク』『永遠の僕たち』『ドント・ウォーリー』でスチール撮影。

◎フリー

 『マイ・プライベート・アイダホ』『サイコ』

 人気バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト。メンバーの交替が激しかった初期の頃からずっとバンドの要で居続けた彼は、ファンク系の要素をキープし続ける激しいベース・プレイによっても、なくてはならぬ存在と言えます。

 風貌が強烈なせいか映画への出演も多く、『バック・トゥ・ザ・フューチャー2、3』『ビッグ・リボウスキ』『ラスベガスをやっつけろ』など、どれもインパクトの強い役柄に起用されています。バンドのMVを監督したり、CDの写真を撮っている繋がりか、サントの映画にも出演。『マイ・プライベート・アイダホ』ではゲイのグループの一員、『サイコ』では頭の弱そうな店員を演じています。リヴァー・フェニックスが急死した際、彼が一緒にいたのは有名な話。

◎バック・ヘンリー

 『カウガール・ブルース』『誘う女』

 監督、脚本、俳優をこなす才人。TVの仕事のかたわら、名作『卒業』『天国から来たチャンピオン』の脚本でアカデミー賞に二度ノミネート。有名なTV番組『サタデー・ナイト・ライヴ』のホスト役として、全米ではおなじみの顔でもあります。脚本を書いた作品を中心に出演作も多く、『カウガール・ブルース』ではドレイファス医師役、脚本を担当した『誘う女』でもチョイ役で出演。

◎ケイシー・アフレック

 『誘う女』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『ジェリー』

 88年、12歳の時、PBS製作の『レモン色の空』でケヴィン・ベーコンと生き別れとなった弟役でデビュー。高校卒業後にカリフォルニアへ移住し、『誘う女』に出演。映画完成後にジョージ・ワシントン大学とニューヨーク、コロンビア大学に通い、平行して俳優として活動。他に『200本のたばこ』『オーシャンズ11』『MOMA 彼女が殺された理由』『ノンストップ・ガール』など。兄はベン・アフレック。『誘う女』で共演したホアキン・フェニックスは親友で、その妹のサマー・フェニックスとは結婚までしています。

 兄ベンとマット・デイモンが脚本を書いた『グッド・ウィル・ハンティング』にも出演し、『ジェリー』では同じくデイモンと共演の他、脚本も一緒に執筆。『小説家を見つけたら』では、デイモンがチョイ役で出ている関係か、現場で何か手伝ったのか、テクニカル・コンサルタントという曖昧な肩書きでクレジットされています。

◎ホアキン・フェニックス

 『誘う女』『ドント・ウォーリー』

 プエルトリコ出身。兄のリヴァー・フェニックス、妹のサマー・フェニックスらと共に、8歳から子役で活躍。ロン・ハワード監督『バックマン家の人々』等に出演し、サント作品の『誘う女』で演じた高校生役で高い評価を得る。成長してからはリドリー・スコット監督『グラディエーター』でアカデミー賞にノミネート、画面上でも強烈な印象を残す。その後もM・ナイト・シャマラン、ウディ・アレン、ポール・トーマス・アンダーソン、スパイク・ジョーンズなど、個性的な監督と仕事を続ける。

 私生活で色々と世間を騒がせる人ですが、そういうスターは結構多いですし、彼が社会活動家でもあり、多くのチャリティ活動や人道主義グループをサポートしている事実は無視できません。『ドント・ウォーリー』出演時の様々な発言も、冷静で的を得ていると感じます。こと演技力となるとハリウッドでも傑出した存在で、『ジョーカー』でも話題をかっさらいました。

◎マット・デイモン

 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『小説家を見つけたら』『ジェリー』『プロミスト・ランド』

 1970年、ボストン生まれ。幼馴染みのベン・アフレックと高校時代から学校演劇の舞台に立ち、88年『ミスティック・ピザ』で映画デビュー。ハーバード大学で英文学を専攻しながら映画出演を続けた後、役者に専念するため休学。『戦火の勇気』が注目を集め、『レインメーカー』で主役に抜擢。『プライベート・ライアン』でもタイトル・ロールを演じて話題を呼ぶ。

 スターでありながら裏方志向のある人で、幼馴染みのアフレックと執筆した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の脚本でアカデミー賞受賞。『ジェリー』『プロミスト・ランド』も、共演者と一緒に執筆したシナリオをサントが映画化したもので、同一指向性というか、映画人としての相性の良さを感じさせます。『小説家を見つけたら』では、最後に少しだけ出演。

◎マイケル・ピット

 『小説家を見つけたら』『ラストデイズ』

 1981年、ニュージャージー生まれ。サンダンス映画祭で観客賞を受賞した『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』で注目され、ベルナルド・ベルトルッチ監督『ドリーマーズ』、『ラストデイズ』で共演したアーシア・アルジェントの監督作『サラ、いつわりの祈り』、M・ナイト・シャマラン監督『ヴィレッジ』など、話題作へ次々出演。サント作品では『小説家を見つけたら』に主人公の友人役で出演、『ラストデイズ』ではミュージシャンとしての活動経験を生かし、主演と演奏で大活躍。

◎イライアス・マッコネル

 『エレファント』『マレ地区』

 今の所、サントの2作品以外では俳優活動なしの様子。『エレファント』ではカメラを趣味にしている学生、『マレ地区』では下働きの青年役で出演。

◎キム・ゴードン

 『ラストデイズ』『ドント・ウォーリー』

 ノイジーな前衛バンド、ソニック・ユースの創設メンバーの一人。同じく創設メンバーで夫のサーストン・ムーアが音楽コンサルタントを担当した『ラストデイズ』では、レコード会社の重役を演じています。シンプルな服装で物静かな演技をしていて意外性がありましたが、『ドント・ウォーリー』にも同じタイプの役柄で出演。

Home  Back