VIVA! LAS VEGAS 2

*パリス

 フランスのパリがテーマのこのホテル、名前もズバリそのものパリス(Paris)。エッフェル塔や凱旋門、そしてカジノの中もあらゆる部分がパリの街をイメージしたつくりになっています。特にひねりもないこのテーマ、単純といえば単純なんですけど、それがかえってわかりやすい個性となっていてとてもいいと思います。

 まず何といっても一番目立つエッフェル塔はストリップ大通りのどこからでも見え、このホテルのシンボルとなっているのはもちろん、ラスベガスの景色の一部としてもはやなくてはならないくらいの存在です。面白いのがこのエッフェル塔の脚の部分で、4本のうち1本はストリップ側の通りに立っているのですが、残りの3本はなんと建物の天井を貫いてカジノフロアに突き刺さっているのです。実はこの塔には実際に上ることができ(有料・大人9ドル)、エレベーターで地上140mまで上って展望台から景色を眺めることができます。ただこの展望台、ガラス張りの展望フロアなどという快適なものではなくて、金網に囲まれた吹きっさらしの結構狭いスペースなので、混雑時などはゆっくり景色を見たりするのは難しいかもしれません。

 それからエッフェル塔の次に目を引く大きな気球、このなんだかわからない青い気球とエッフェル塔の鉄骨、それにホテルの建物の色などがいまいち統一感がなくてなんかチグハグな感じなんですが、夜になると一転、金色にライトアップされたエッフェル塔は美しいのひと言です。ちなみにこのエッフェル塔は本物の約2分の1、凱旋門は約3分の2の大きさだそうです。

*ベラッジオ

 イタリア北部のスイスとの国境近く、ミラノから北へ約50キロの辺りにあるコモ湖。この湖は細長い形状をしており、ちょうど漢字の「人」の字のような形をしています。その湖が二股に分かれる分岐点の位置には"Bellagio"という名前の村があります。この湖と湖畔の村をイメージして作られたホテルがベラッジオです。

 個性的なホテルが立ち並ぶラスベガスにあって、ベラッジオのエレガントで高級感のある外観の美しさは際立っています。もちろん建物の中もゴージャスな雰囲気で、すべてにおいて高級感が漂っており、トイレに入った時なんかもとてもゆったりとしていて一番豪華だったような記憶があります。

 以前、このホテルとモンテカルロの間には無料モノレールが走っていたのですが、残念なことに廃止されてしまったようです。こういう無料モノレールは上手に利用すれば移動時間の短縮になるのはもちろんのこと、ちょっとしたアトラクション的な感覚もあったり、'誰でも無料'というラスベガスらしさを味わえたりと、個人的にはいろんな意味で気に入っていたので非常に残念です。

 ホテルの前にはコモ湖をイメージして作られた広大な池があり、ここで行われる噴水ショーは必見です。映画『オーシャンズ11』のエンディングにはみんなが並んでこの噴水を眺めるシーンがありましたし、最近ではラスベガスを特集したテレビ番組でしばしば映像が流れたりするのでご覧になったことのある方も多いと思いますが、実際に目の前で見るとモノ凄い迫力で圧倒されてしまいます。たかが噴水と言うなかれ、このアトラクションはもはや"噴水ショー"などという次元のものではありません。まず、池の広さがハンパじゃありません。面積が5万平方メートル、横幅も超ワイドで300メートルです。興味のある方は一度Google Earth(*1)でご覧になってみてください。シーザースパレスの前庭の池と較べてもいかに大きいかがわかると思います。そしてなんといっても一番のド迫力は空高く噴き上がる水柱です。なんと最高で70メートル以上にも達するのです。

 毎回違った曲が流れるのですが、それぞれの曲に合わせて噴水の動きも違いますので、いつまで見ていても飽きません。さすがに全部見ることはできませんでしたが、その中でも一番良いと思ったのはやはり、アンドレア・ボチェッリ&サラ・ブライトマンの"タイム・トゥ・セイ・グッバイ"(*2)だったでしょうか。この曲はゆったりしたテンポなので、始まって最初のうちはちょっと物足りないかなと思って見ていたのですが、後半部分で曲が盛り上がってくる辺りからは噴水のほうも次第に力強くダイナミックな動きになってきて最後には大技連発となり、非常に感動的でした。

 この噴水ショーは15分おきに行われますし、場所も広いですから混んでいて見れないという心配はありませんので、いつでも安心してゆっくりと鑑賞することができます。もちろん無料です。見るなら断然ライトアップされる夜がおすすめです。

*1 ベラッジオの位置は [ 36。0646N : 115。1027W ] 。ちなみに、コモ湖の位置は [ 46。0000N : 9。1600E ] です。

*2 Con Te PartiroTime to Say Goodbye (Andrea Bocelli & Sarah Brightman)

*アラジン

 現在のアラジンはもともと同じ場所にあった建物を取り壊して、2000年にリニューアルされたホテルです・・・が、いろいろあって現在改装中。近々「プラネットハリウッド リゾート&カジノ」として生まれ変わるようです。

 アラジンは『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』がテーマとあって、カジノフロアの中央に大きな魔法のランプがあったり、中東のイスラム的な色彩に包まれたホテルで、そういう意味では他ホテルとはちょっと違った独特の雰囲気が味わえる貴重な存在だと思っていましたが、いったいどういうふうに変わるんでしょうか。今のところ外観はまだ前のままのようですが、改装が済んだ部分でアラジンの面影がまったくなくなっている所もあるみたいなので、完全に違うホテルに生まれ変わるのかもしれませんね。

*モンテカルロ

 このホテルの名前「モンテカルロ」は、高級リゾート地として知られるモナコの地名から付けられたものです。F1の市街地コースやカジノが有名です。

 白を基調とした比較的シンプルなデザインの建物は落ち着いた雰囲気でセンスの良さを感じさせます。入り口の部分は宮殿のようなゴージャスな造りになっていて、まるでヨーロッパの歴史的建築物を見ているようです。(最近この美しい玄関部分が取り壊される写真をどこかで見かけました。個人的には前のままで十分素晴らしいと思っていたので、あんまり違う雰囲気にならないよう願います。)

 ラスベガスの多くのホテルでは、「カジノが迷路のように入り組んでいる」というのがよく言われることですが、このモンテカルロのカジノはほぼ長方形の形をしていて、非常にわかりやすいレイアウトになっています。これはラスベガスに行ったことのない方だとあまりピンと来ないかもしれませんが、"迷路のよう"というのは決して大袈裟な言い方ではなく、自分の泊まっているホテルのカジノであっても「ストリップ側の出口はどこだったかな?」とか「トイレはどっちにあったかな?」とか苦労しますので、ここのようにわかりやすいカジノだとストレスなく行動できるのでありがたいです。

 ストリップ中心部からは若干距離がありますが(以前はモンテカルロ-ベラッジオ間に無料トラムが通っていたので便利だったのです

が、廃止されてしまったようでちょっと残念)、静かで落ち着いた感じのホテルを好む方にはいいのではないでしょうか。

*ニューヨーク・ニューヨーク

ラスベガスの中心を南北に走るメインストリート(Las Vegas Blvd.)は、通称ストリップThe Strip)と呼ばれています。"strip"という単語には「服を脱ぐ」という意味のほかに「布や板などの細長い一片、細長い土地」という意味があり、「メインストリート沿いの細長いエリア」という意味でこう呼ばれているようです。ストリップと交差する東西の道はいくつかあって、その中のひとつであるフラミンゴ通り(Flamingo Rd.)との交差点をフォーコーナーFour Corners)と呼ぶのに対し、トロピカーナ通り(Tropicana Ave.)との交差点を新フォーコーナーNew Four Corners)と呼びます。ニューヨーク・ニューヨークはその新フォーコーナーの一角にあります。

 このホテルのテーマはもちろん"ニューヨーク"なのですが、その徹底振りはなかなかのものです。まず外から見て目に入ってくるのが、色とりどりに建ち並ぶいくつもの細長いビル。これはエンパイア・ステート・ビルやクライスラー・ビルなど半世紀以上前のマンハッタンの摩天楼を再現したものです。1/3サイズで再現された12のビルは、もちろん高さもまちまちですし、一見張りぼてのようにも見えるのですが、これがれっきとしたの客室棟なのです。ラスベガスの建物の中でも一、二を争う個性的なホテルではないかと思います。まぁでもそのせいで、客室棟のエレベーターの場所や各棟間の行き来などはいささか分かりにくいことになっているようですが・・・。

 摩天楼の前では実物の1/2サイズの自由の女神が交差点のほうを向いて立っています。その他にも移民博物館、グランドセントラル駅、証券取引所、公立図書館、ブルックリン橋などのニューヨークの歴史的建造物がたくさんあります。

 そしてもうひとつ、忘れてはならないこのホテルの名物があります。摩天楼の周りを猛スピードで走るローラーコースター"マンハッタン・エクスプレス"です。知らない人でもホテルの近くまで行けば下の道路まで絶叫が聞こえてきますので気付くはずです。ビルの横をスレスレで駆け抜けるというのはちょっと珍しいと思いますし、一度乗ってみる価値はあるのではないでしょうか。私はジェットコースターについてはあまり詳しくないので、他と比べてどう違うかなどはうまく説明できないのですが、スピードも落差も十分で、とにかく自分の経験の中では一番キツかったという記憶があります。乗っている時間も結構長かったので(約4分間)、「ホンマもうエエから、はよ終わってくれ〜」と思いました。乗り場はホテルの2階にあるゲームセンター"コニーアイランド"の奥。当時の料金は一人$12.5でした。

 ホテル内もニューヨーク一色。カジノはクイーンズ、ブルックリンなどのエリアに分かれていて、中央にはセントラルパークがあったり、キャッシャーがあるのはウォール街だったりします。ダウンタウン地区のレストラン街にはグリニッジ・ビレッジ、チャイナタウン、リトルイタリーなどがあります。

 と、こんな感じでテーマホテルとしての凝り具合はラスベガス随一と言えるほど。見てまわるだけでも結構楽しめると思いますので、ここに宿泊しない場合でも散歩がてらに遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

 

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