VIVA! LAS VEGAS 3

*MGMグランド

 ラスベガスに登場した “最初の” MGMグランドは1973年、当時のMGM(Metro-Goldwyn-Mayer)社のオーナーだった大富豪のカーク・カーコリアンという人物によって建てられました。世界最大のホテルとしてオープンしたこのホテルは、その後MGM社が売却された際にバリー社の手に渡ります。これが現在のバリーズです。その後もMGM社の買収・売却を繰り返したカーコリアンが1993年、ラスベガスに再び “世界最大のホテル” として建設したのが今のMGMグランドというわけです。

 現在このホテルを経営するMGM Mirage社がMGMグランドの他にベラッジオやミラージュを所有していることは、映画『オーシャンズ11』でこれら3つのカジノの売り上げ金が集められる地下金庫に盗みに入るというストーリーでも描かれていますが、その他にもニューヨーク・ニューヨーク、TI(旧トレジャーアイランド)、マンダレイベイ、ルクソール、エクスカリバー、モンテカルロ、サーカスサーカスを所有しています。

 何はともあれMGMといえばライオン(映画のオープニングで「ガォー」と吠えるあれ)ということで、ライオンがこのホテルのシンボルです。ホテルの前には巨大なブロンズ製のライオン像があります。高さ13.7メートル、重さ50トンというこの金色のライオン像は「意味もなくデカい、しかもそのスケールがハンパじゃない」というラスベガスらしさを最もわかりやすく表している存在だと思いますが、その巨大さゆえに、このライオン像をバックに記念写真を撮ろうと思ってもちょっと苦労するかもしれません。私が通りすがりの人に頼んで撮ってもらった写真なんかは、後で見てみたらライオンの脚しか写ってませんでした。

 もちろん巨大なのはライオン像だけではありません。現在は客室数やカジノの面積などの世界一記録は塗り替えられていますが、「アメリカン・フットボールのコート4つ分の敷地面積」とか「客室数は5,000以上で毎日違う部屋に泊まっても13年かかる」というのを聞いて「ラスベガスってすげー」と驚いたものです。広大なフロアにスロットマシンやゲームのテーブルが所狭しと並んでいるここのカジノは「迷わない人がいないぐらい」と言われていますし、客室もエレベーターから離れた部屋だとけっこうな距離を歩くことになるので、「部屋からホテル前の集合場所まで行くのに小一時間かかった」なんていう話も、忘れ物を取りに戻ったりカジノで迷ったりしていたらあながち冗談じゃないんですよホントに。

 というわけで、良い意味でも悪い意味でも “ド派手で巨大” というラスベガスの王道を行くこのMGMグランドは、上空から見ると十字のように四方向へ伸びた客室タワーがエメラルドグリーンの窓ガラスと緑色の外壁に覆われており、夜になってライトアップされるとパリ

スのエッフェル塔やストラトスフィア・タワーなどから見るラスベガスの夜景にアクセントを添えていて効果抜群です。

 以前はMGM−バリーズ間を走っていた無料モノレールが、現在は北方向にサハラまで延長され有料になっています。誰でも無料で利用できるといった気軽さが良かっただけに、有料になってしまったのは残念なのですが、将来的にはフリーモント・ストリートなどのあるダウンタウン地区まで延長される予定もあるようなので、そうなれば便利ですね。フリーモントに行くにはタクシーを使うケースが多いと思うのですが、夜中のダウンタウンでタクシーを拾うというのはちょっとドキドキするものですから、モノレールで行けるとなると嬉しいです。また、南方向にもマッキャラン国際空港まで延長される計画もあるとのことで、もし実現すればラスベガスの重要な交通手段となるかもしれません。

*エクスカリバー

 新フォーコーナーの一角に、赤や青のいくつものとんがった屋根のある建物が見えます。このおとぎ話に出てくるお城のようなホテルがエクスカリバーです。エクスカリバーとはアーサー王伝説の中に出てくる聖剣のことで、岩に突き刺さったこの剣を引き抜いた者が王の資格があるとされ、誰も引き抜くことのできなかったその剣をアーサーが引き抜いたという話です。

 建物がお城なら中に入ればもちろん中世のイメージ。カジノや客室など中世ヨーロッパの様式でまとめられています。このようなメルヘンチックなテーマ設定や地下に大きなゲーム・アーケードを用意することで子供も楽しむことができるようになっていますし、宿泊料金も比較的安いということもあって子供連れの旅行者に人気があるようです。

 ベラッジオやシーザースパレスなどのあるストリップの中心部やそれより北のエリアへは少し距離があるので気軽に徒歩でというわけにはいきませんが、そちらの方面には比較的高級志向の大人のホテルが多いのに対し、エクスカリバーの周りにあるのはファミリー受けしそうなMGMグランドやニューヨーク・ニューヨークといったホテルですので、そういった点でも家族連れに向いているかもしれません。ちなみに南側にあるルクソールやマンダレイベイへ行くには無料モノレールを利用すれば便利です。

*ルクソール

 巨大ホテル&カジノが建ち並ぶストリップ大通りのほぼ南端に、全面黒いガラスで覆われた巨大なピラミッド型の建物があります。これが古代エジプトをテーマとしたピラミッド型ホテル、ルクソールです。ピラミッドの高さは100m以上、大きさはクフ王のピラミッドのおよそ8割ということで世界で4番目に大きいピラミッドなんだそうです。全面黒のガラス張りという外観ゆえに、夜になると暗闇の中に姿を隠してしまいますが、ピラミッドの先端から天に向かって一直線に伸びる強力な光の柱は、ラスベガスのどこからでも肉眼で確認することができます。

 ストリップ沿いに建つ立派なオベリスクの横を通り過ぎ、大きなスフィンクス*1を見上げながらピラミッドの中に入ると、壁には象形文字が刻まれていたり、ファラオや神々の石像がいくつもあってまるで本物の神殿のよう*2。ここまでだけでもちょっとしたエジプト疑似体験アトラクションといった感じで、他ホテルに宿泊している人も行ってみる価値アリだと思います。

 広い1階部分がカジノ・フロア、2階がアトラクション・エリアになっているのですが、もちろんこのピラミッドはホテルでもあるわけです。4つの側面に沿うように客室が配置されていますので当然部屋の窓は斜めですし、エレベーターはピラミッドの四隅から斜めに上っていくという非常にユニークなつくりになっています。カジノ・フロアやアトラクション・エリアから上の方を見上げると、客室から出たところにある通路が逆段々畑のようになっているのが見えて、その構造がよくわかります。

 それから宿泊先としてこのホテルを選ぶときにネックになるのがバスルームの問題。これはツアーのパンフレットなどにもよく書かれていますが、ピラミッド棟のスタンダードルームはシャワーのみでバスタブがないということ。ピラミッド棟の北側には通常のタワー型宿泊棟が2つあって、こちらはバスタブありで料金も割安とのことなんですが、やはりルクソールに宿泊するならピラミッドの方じゃないと意味がないような気もするし......

*1 モノレール乗り場に行くとこのスフィンクスの巨大な前脚に触れられます。

*2 冷房はガンガンに効いていますが。

 

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