“旅のセールスマンが娘に毎晩、語って聞かせるお話とは?”

『パパの電話を待ちながら』 (講談社)

 ジャンニ・ロダーリ  訳:内田洋子

 イタリアを代表する児童文学作家の一人、ロダーリのユニークなショート・ショート集。イタリアでは大人も子供もみなロダーリを読んだ事があるそうで、我が国で言えば星新一のような存在かもしれませんね。単行本(現在入手困難ですけど)の帯に江國香織が、「この本を知っている人と知らない人とでは人生が違ってくると私は思う」と書いていますが、確かにこういうイマジネーション豊かなお話を聞いて育った子供は、そうでない子供と較べて想像力に違いがあったりするのかも。

 さて本書、イタリア中を旅するセールスマンのビアンキさんが、毎晩9時に娘のため、電話でお話を語って聞かせるというのが、枠組みとなっております。しかしその内容は、お子様向けのソフトな童話などではなく、奇抜で、シュールで、時に辛辣だったりもする、少々現代的なお話ばかり。必ずオチがある訳でもなく、そのさりげなさが逆に「お父さんの夜話」としてはリアルだったりもします。

 翻訳が名エッセイスト内田洋子ですが、日本語訳の難しい言葉遊び中心のお話など、原書からは十四篇が割愛されているとの事。ちなみに単行本の方は、ブルーノ・ムナーリによるオリジナル装丁がポップで可愛く、プレゼントに最適。

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