『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』の人気作家、森見登美彦の対談集。あちこちに掲載されたものをまとめた一冊で、文庫化の際に伊坂幸太郎、辻村深月との対談が新録されています。巻末には漫画家カメントツの短篇と、10年前の自分と現在の自分が会う設定の著者セルフ対談も収録。 対談本は、特に俳優さんのものなどは内容的にユルい感じも多いですが、本書は対談相手もクリエイターが多く、雰囲気こそ和やかながらかなり深い話をしています。森見登美彦のファンはもちろん、プロアマ問わず小説を書く人や、創作に携わる人にはぜひお薦めしたい貴重な本。 もっとも、関西出身の人も多かったりして、著者らしいユーモアが随所に出ているのも楽しい所。特に、近い作風でライバル扱いをされる事もあった万城目学との対談は、軽妙なやり取りが笑えます。関東勢ながら、著者に異常な嫉妬心を示す伊坂幸太郎との対談も愉快。もっとも、この本を大いに楽しんだ後で同時に文庫化された『夜行』を読むと、そのギャップに震撼させられて背筋が凍るのも事実ですが…。 |