“そうそうたるクリエイター達と繰り広げる、深くて興味深い対談集”

『森見登美彦氏対談集 ぐるぐる問答』 (小学館文庫)

 森見登美彦

 × 劇団ひとり、万城目学、瀧波ユカリ、柴崎友香、うすた京介、綾辻行人

   神山健治、上田誠、羽海野チカ、大江麻理子、萩尾望都、飴村行

   本上まなみ、綿谷りさ、伊坂幸太郎、辻村深月

 『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』の人気作家、森見登美彦の対談集。あちこちに掲載されたものをまとめた一冊で、文庫化の際に伊坂幸太郎、辻村深月との対談が新録されています。巻末には漫画家カメントツの短篇と、10年前の自分と現在の自分が会う設定の著者セルフ対談も収録。

 対談本は、特に俳優さんのものなどは内容的にユルい感じも多いですが、本書は対談相手もクリエイターが多く、雰囲気こそ和やかながらかなり深い話をしています。森見登美彦のファンはもちろん、プロアマ問わず小説を書く人や、創作に携わる人にはぜひお薦めしたい貴重な本。

 もっとも、関西出身の人も多かったりして、著者らしいユーモアが随所に出ているのも楽しい所。特に、近い作風でライバル扱いをされる事もあった万城目学との対談は、軽妙なやり取りが笑えます。関東勢ながら、著者に異常な嫉妬心を示す伊坂幸太郎との対談も愉快。もっとも、この本を大いに楽しんだ後で同時に文庫化された『夜行』を読むと、そのギャップに震撼させられて背筋が凍るのも事実ですが…。

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