建築のスタイルや歴史を取り上げた本ではありながら、いわゆる名建築ではなく、街中で目にする様々なカタチに焦点を当てた内容。分類としては建築関係になるのでしょうが、どちらかというと雑学の本という感じです。NHKの番組『ブラタモリ』みたいに、街歩きをしながらあれこれと観察して、その由来や機能性を語るような楽しさがメインで、その意味ではありそうでなかった本かもしれません。 情報の密度が高く、細かいイラストや文章がびっしりと書き込まれていて、かなりマニアックな内容。建物だけでなく、坂道やお堀、窪地や街並など地形に関する項目もあるし、路地、横丁、井戸、仏像、地蔵、駅、銭湯、タバコ屋から、塀、竹垣、縁日の屋台配置まで、テーマは実に多彩。古い建物ばかりでなく、復興公園やガード下、のれんや看板など、現代的なトピックも取り上げています。もちろん、建築デザインについての項目も多数あり。 著者のスタジオワークとは、建築士の資格を持つメンバーから成るグループ。各人の経歴や参考文献も紹介されていて、ちゃんと信頼のおける書籍となっています。 |