“高畑勲が編集・翻訳し、奈良美智がイラストを寄せた、ユニークなプレヴェール詩集”

『鳥への挨拶』 (ぴあ)

 ジャック・プレヴェール  編・訳:高畑勲  絵:奈良美智

 プレヴェールは、有名なシャンソン『枯葉』などの作詞家であり、ロングセラー詩集『ことばたち』の詩人であり、名作『天井桟敷の人々』『霧の波止場』『夜の門』などでフランス映画を代表する脚本家でもあり、ポール・グリモーのアニメ『王と鳥』『やぶにらみの暴君』の脚本も書いてるという、正に言葉の達人。本書は、スタジオジブリの高畑勲がプレヴェールの詩を自由に選び、奈良美智がイラストを付けたユニークな詩集。雑誌のような少し大きめのサイズに、肌理の粗いコミック雑誌みたいな紙質も独特です。詩集やシャンソンからセレクトされたプレヴェールの詩は、奈良美智の個性的なイラストと相まって不思議なムードを漂わせますが、基本的には自然や子供、社会的弱者に視線を向けた詩が多いようです。個人的には、詩という形式は難解すぎて普段はあまり読む習慣がありませんが、次のような印象なフレーズに出会うと、たまには詩集を読むのもいいものだという気になりますね。

 ロバと王様と私/明日はみんな死んでいる

 ロバは飢えて/王様は憂屈で/私は恋で    (「五月の歌」より)

 三本のマッチ/一本一本点ける/夜のなか

 一本目は/きみの顔全体を見るため

 二本目は/きみの目を見るため

 最後の一本は/きみの口を見るため

 そして真っ暗闇は/それをみんな思い返すため   (「夜のパリ」より)

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