“女優・小林聡美による、幅広い人選ながらユルい感じの鼎談”

『ていだん』 (中公文庫)

 小林聡美

× 井上陽水×川上未映子、飯島奈美×小泉武夫、片桐はいり×もたいまさこ

  松岡享子×群ようこ、酒井順子×柳家小三治、長塚圭史×西加奈子

  加瀬亮×前田敦子、江戸家子猫×南伸坊、大橋歩×小野塚秋良

  宇多喜代子×森下圭子、市川実日子×市川実和子、坂崎千春×坂本美雨

  大貫妙子×畠山晶、板谷由夏×平岩紙、白旗眞生×野村友里

  光石研×役所広司、甲斐信枝×本上まなみ、石田ゆり子×中谷百里

 雑誌『婦人公論』連載の書籍化で、初出は2015年9月〜2017年2月号まで。俳優仲間だけでなく、噺家やミュージシャン、作家、料理人、フードスタイリスト、学者、デザイナーなど多彩な人選がなされ、漁師や施設経営者のような一般人に近い立場の人も入っています。敢えて珍しい組み合わせにしてある回もあるし、読者の方も、こういう本でなければ知る機会のない人を知る事が出来るのはメリット。

 対談ではなく鼎談なので、小林聡美自身はほとんど聞き手に回ってしまって、あまり積極的に場を取り仕切っていないケースもあるのが彼女らしい所。連載媒体のカラーもあってか、若い読者にはやや刺激に乏しい部分もあったりしますが、軽い雑談にみせて、実はさりげなく深い話もしていたりします。

 著者の個性が磁力を持つというより、彼女を中心に色々な人たちが話をしに集まった体裁で、読む方も気負いのない態度で軽く手に取れる本。空き時間に気軽に読むのがいいかもしれません。

*   *   *

 

Home  Top