この人の作風はかなり幅広いようで、多くの作品が邦訳されていて、どこの本屋さんに行っても何冊かは必ず彼女の絵本を見かけます。奇をてらわないオーソドックスなタッチのものが大半のようですが、大阪・ハービスエントのANGERS ravissantで見つけたこの絵本は、子供の頃、画用紙にクレヨンでお絵描きをした思い出が甦ってくるような、とても懐かしい味わいのある画風のもの。絵本というものに魅力を感じる、その初期衝動のような心の働きをチクチクと刺激しつつ、よく知られた赤ずきんの物語を、実に新鮮な感覚で表現しています。一見、本当に子供が書いたみたいに雑にみえたりもしますが、表紙にあるお花畑の描写など繊細に描き込まれていて、部屋に飾っておくだけでも、ああ、絵本っていいなあ、ロマンがあるなあ、と覚えず呟いてしまう素敵な本です。 |