バーナディット・ワッツ

Bernadette Watts

* 作家紹介

 1942年、イギリスのノーサンプトン生まれ。幼少の頃から絵を描くのが好きで、美術学校やブライアン・ワイルドスミスの下で児童画の技術を学ぶ。絵の先生をした事もある。グリム童話をはじめ、数多くの絵本を描き、『赤ずきん』は1969年にドイツの最優秀児童図書に選出。

* 作品

『ラプンツェル』(岩波書店)

『ヘンゼルとグレーテル』(岩波書店)

『イソップのライオンとねずみ』(講談社)

『みにくいアヒルの子』(講談社)

『雪の女王』(西村書店)

『ブレーメンの音楽隊』(西村書店)

『野の白鳥』(小学館)

『こうさぎジャック しっぽはどこ?』(小学館)

 他多数

* おすすめ

『赤ずきん』(1968年、スイス)

 絵:バーナディット・ワッツ  

 訳:生野幸吉

 岩波書店・1978年

 この人の作風はかなり幅広いようで、多くの作品が邦訳されていて、どこの本屋さんに行っても何冊かは必ず彼女の絵本を見かけます。奇をてらわないオーソドックスなタッチのものが大半のようですが、大阪・ハービスエントのANGERS ravissantで見つけたこの絵本は、子供の頃、画用紙にクレヨンでお絵描きをした思い出が甦ってくるような、とても懐かしい味わいのある画風のもの。絵本というものに魅力を感じる、その初期衝動のような心の働きをチクチクと刺激しつつ、よく知られた赤ずきんの物語を、実に新鮮な感覚で表現しています。一見、本当に子供が書いたみたいに雑にみえたりもしますが、表紙にあるお花畑の描写など繊細に描き込まれていて、部屋に飾っておくだけでも、ああ、絵本っていいなあ、ロマンがあるなあ、と覚えず呟いてしまう素敵な本です。

 似たタッチで描かれた彼女の絵本がないか、随分と探し回りましたが、残念ながら、これと同じ作風のものは今のところ見つかっていません。たまたま、こういうタッチで描いてみたくなっただけなのでしょうか。

ehon12

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