ゲオルグ・ハレンスレーベン

Georg Hallensleben

* 作家紹介

 1958年ドイツ生まれ。幼い頃より水彩画を手掛け、学校卒業の年にスイス、チューリッヒで初の個展を開催。卒業後はローマに住み、画家として活躍。パリで出会ったアン・グットマンと結婚し、彼女が文章と装丁を担当した“リサとガスパール”シリーズで一躍人気を集める。二人の子供と共に、パリのマレ地区在住。

“リサとガスパール”“ペネロペ”のシリーズが大ヒットして、キャラクター商品なども多く発売されているので、日本での知名度も大変に高い画家ですね。関西では阪急百貨店がよくクリスマスなどに、ショーウィンドウや特設会場で“リサとガスパール”フェアを展開しています。印象派の油絵を思わせるこってりとした絵画的デッサン、ポップな色彩感覚、キャラクターの愛らしい仕草などの他、本全体にお洒落な雰囲気があって、センスの良い雑貨みたいに扱える所も魅力でしょう。二つの看板シリーズはあまりにも有名だし、たくさんの巻が出ているので、おすすめコーナーでは敢えてそれ以外の作品や、変わった趣向の本を選んでみました。

* 作品

『もりのかいぶつドギモヌキ』(福音館書店)

『目をつむるのよ、ぼうや』(あすなろ書房)

『ペネロペようちえんへいく』(岩崎書店)

『メリークリスマス、ペネロペ』(岩崎書店)

『おやすみなさい、ペネロペ』(岩崎書店)

『リサとガスパールのレストラン』(ブロンズ新社)

『リサとガスパールのたいくつないちにち』(ブロンズ新社)

『ガスパールこいぬをかう』(ブロンズ新社)

『リサのこわいゆめ』(ブロンズ新社)

 他多数

* おすすめ

『イザベルと天使』 (1997年、フランス)

 作:ティエリー・マニエ

 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン

 訳:石津ちひろ

 金の星社・2003年

 美術館で絵を眺めるのが日課という子ぶたのイザベルが、お気に入りの絵の中の天使に恋をするお話。“リサとガスパール”以外のハレンスレーベン作品では、特に人気がある本のようです。書店に並んでいても赤い表紙が結構目立つので、つい手に取ってしまいます。

 イザベルは「でも、そんなの、べつにいいじゃん!」が口癖の現代っ子ですが、せっせと天使の元に通いつめたり、女神の彫刻に嫉妬したり、なかなか健気なキャラクターになっています。小粋なラストも含めて、とても可愛らしい絵本。

『おつきさまはきっと』 (1998年、フランス)

 作:ケイト・バンクス

 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン

 訳:さくまゆみこ

 講談社・2000年

 夜の子供部屋と、お月さまが照らす外の世界の風景が同時進行で交互に描かれる、ユニークな構成の本。ハレンスレーベンは、ローマで出会ったケイト・バンクスと組んだこの3冊目の絵本で、アメリカの児童書評誌、ホーンブックの98年最優秀絵本賞を受賞しています。最初のページでは子供がベッドに入ろうとする光景、そこへ「いまごろ、おつきさまはきっと…」というリフレインが入り、次のページは世界各地の夜の風景。時間の経過と共に、これが何度も繰り返されてゆきます。やさしく、美しい文章も印象的ですが、名画の風格すら漂わせるハレンスレーベンの絵が出色の出来映えです。

『リサとガスパールのデザートブック』 (2004年、フランス)

 作:アン・グットマン

 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン

 訳・写真・レシピ監修:山本ゆりこ

 ブロンズ新社・2005年

“リサとガスパール”シリーズには、勿論私が好きな本もたくさんありますが、特に面白いと思ったのがこれ。いちごのシャルロットやタルト・タタンなど、20種類のデザート・レシピと共に、リサとガスパールが一緒にお菓子を作る様子も描き込まれています。レシピの所で、材料の一つ一つが絵で描かれているのも楽しい趣向です。少し大きなサイズの本ですし、私達夫婦はあまりお菓子を作らないので、残念ながら所有してはいないのですが、書店で見かけるといつも手に取ってページをめくってしまいます。装丁も中身も可愛らしい、素敵な本。レシピの材料がひとめで分かる42個のマグネット付き。

*   *   *

 

Home  Top