『ひよことむぎばたけ』 (1953年、チェコ) |
作:フランチシェク・フルビーン 絵:ズデネック・ミレル |
訳:千野栄一 |
偕成社・1978年 |
迷子になってひよこがお母さんの元に帰るまでの、ごく短いお話。ミレルの他の作品とは違い、写実的で格調の高い筆致がすこぶる美しいです。ひよこも可愛い。ミレルはこのお話に思い入れがあったのか、14年後に同じ絵本を再び作っていますが、横長ミニサイズの体裁のみ共通で、画風は全く違っています(下記に紹介)。お求めの際はご注意下さい。 |
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『ゆかいな きかんしゃ』 (1961年、チェコ) |
作:ヤン・チャレック 絵:ズデネック・ミレル |
訳:きむらゆうこ |
ひさかたチャイルド・2006年 |
きかんしゃトーマスのように、顔が付いた機関車の絵本。ページは最小限の枚数で、厚紙になっているので、幼児絵本としておすすめです。ただしセンス抜群のイラストは、大人に猛アピールするはず。車体がカラフルに塗り分けられた機関車は、『せかいでいちばんおかねもちのすずめ』にもスタイリッシュなデザインで登場しますが、ここでは動物も人間もひたすらチビっこくて可愛い造形です。二人並んで同じポーズでハサミを持つ車掌の女の子なんてもう・・・。 |
あと、ミレルにはよくあるのですが、うさぎや魚、ヒヨコなど、全く同じ絵を5つくらい並べる事でパターン模様のように見せる手法は、グラフィック・デザインの素養が生かされているのを感じます。色合いはカラフルでにぎやか、構図や遠近法もモダンかつグラフィカルで、どのページも絵葉書にして欲しいくらい素敵なイラストばかりです。 |
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『せかいでいちばんおかねもちのすずめ』 (1963年、チェコ) |
作:エドアルド・ペチシカ 絵:ズデネック・ミレル |
訳:きむらゆうこ |
プチグラパブリッシング・2006年 |
これはまた、何とオシャレな絵本なんでしょう。丸や三角や四角などのシンプルな図形をたくさん使い、ポップな色彩が弾ける各ページは、どれをとってもポスターや絵葉書にしたくなる無類の楽しさ。カラフルだけどケバケバしさがなく、趣味の良さを感じさせます。さすがはプチグラさんが目を付けただけはありますね。お話は、ちょっぴり欲張りなすずめのぼさぼさくんが、仲間の大切さに気付くまでを描いたもの。 |
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『あおねこちゃん』 (1964年、チェコ) |
作:マリカ・ヘルストローム=ケネディ 絵:ズデネック・ミレル |
訳:平野清美 |
平凡社・2012年 |
外国からやってきた青いネコが、周囲に受け入れられるまでを描いたお話。単に外国とだけ書かれていますが、ミンチンという名前や送り主アロソンも含めた顔の造作から、東洋(恐らくは中国)と推察されます。文章の分量がかなり多い本ながら、グラフィックの素養も感じさせるミレルの可愛いカラー・イラストは、どのページもセンス満点で魅力的。全く古さを感じさせない、おしゃれさが凄いです。ミレルはこの5年前に、同じく東洋の青いネコを主人公にした短篇アニメを作っていますが、話の内容は違っています。 |
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『ひよことむぎばたけ』 (1967年、チェコ) |
作:フランチシェク・フルビーン 絵:ズデネック・ミレル |
訳:きむらゆうこ |
ひさかたチャイルド・2008年 |
53年の作品を、ミレル自身の絵でリライト。背景や色彩など『クルテク』の雰囲気に近付いているのと、ページ数がぐっと減り、人間は登場しなくなりました。どのページもイラストが美しく、ひよこが超絶的に可愛いので、絵本好きの大人から子供まで万人に薦めたい傑作。大人の読者なら、配色やデザイン・センスの素晴らしさに唸らされるでしょう。ただし絶版のせいか、こちらは入手しにくいようです。厚紙の頑丈な本なので幼児向けにとてもいいのですが。 |
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『まぬけのイワン』 (1973年、チェコ) |
作:マクシム・ゴーリキー 絵:ズデネック・ミレル |
訳:きむらゆうこ |
プチグラパブリッシング・2006年 |
これもプチグラさんの快挙。『もぐらくん』シリーズと違ってアニメチックな雰囲気のない、しゃれた画風の絵本です。小型のサイズなのも、大人の絵本好きには嬉しい所。よく見ると細かな図形を組み合わせたグラフィック的手法もふんだんに使われていますが、ポップな『せかいでいちばんおかねもちのすずめ』とも少し違って、淡く柔らかいタッチに仕上げられています。 |
ロシアの文豪ゴーリキーによる原作は、トルストイの『イワンのばか』とはまた別のお話ですが、一見愚かなイワンが実は物事の本質を最もストレートに理解しているという主題は両者に共通のものです。勿論、文章は易しく書かれているので、お子様にも十分理解できるでしょう。 |
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『Pictures Friends 004 Krtek クルテク』 |
プチグラパブリッシング・2004年 |
これは絵本ではなく、『クルテク』とミレルの世界を特集した日本独自の企画本。ミニ絵本のような小さなサイズながら豊富な情報を満載し、大変に充実した本になっています。内容は、クルテク・シリーズの作品紹介やキャラクター図鑑、ミレルの他の絵本やアニメ作品の紹介、経歴とインタビュー、グッズ紹介、チェコ共和国とチェコ語のミニ講座、チェコのおやつクネドリーキのレシピ、最後には切り取り式の指人形がおまけに付いて、正に盛りだくさん。 |
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