雪の日に捨てられた子猫が、サンタクロースに拾われて新しい家を見つけるまでのお話。ドイツの作家が書いたお話はこれ以上ないほどシンプルなものですが、絵に圧倒的な魅力があって、それだけで大満足。どのページもとにかく美しい。複雑でほの暗い色彩はヨーロッパ的ですが、雪夜の場面のブルーなんて何と鮮やかな事でしょう。それに主人公の子猫をはじめ、雪だるまの上にとまったカラスや木の上のふくろう、雪の中に並んだうさぎ達など、動物の造詣がいちいち愛らしい。それでいて画面構成やデッサンには、格調の高い芸術的なセンスも強く感じられます。この人の絵はまだまだ見たいので、今後に期待したいと思います。 |