ハンヌ・タイナ
Hannu Taina
* 作家紹介
1941年、フィンランドのヘルシンキ生まれ。工業美術学院を卒業後、グラフィック・デザイナーとして働いた後、75年以来フリーの画家として、児童書の仕事を続けている。BIB世界絵本原画展グランプリなど、国内及び国際的にも数々の賞を受賞。77年から描いたウッポという名のクマさんシリーズ、『プクプク=クマ』はフィンランドのプーさんとして、50万部のベストセラー。
淡い色彩感と繊細なタッチは水彩画のようですが、実はガッシュと透明水彩を薄く重ねて着彩しているとの事。いかにも絵本らしい遠近法や可愛らしいデッサン、デリケートな線と色合い、北欧らしい透明感は、絵本として非常に魅力的です。
* おすすめ
『ちいさなおうさま』 (1986年、フィンランド)
作:ライヤ・シエッキネン 絵:ハンヌ・タイナ
訳:坂井玲子
富山房・1989年
浜辺のお城に一人で住んでいる王様。家来が欲しいと願っていた彼だが、ある日、一匹の猫と友達になり、そのうち周囲に家も建ちはじめて、近所との交流が生まれてくる。王様が家来だと考えているのが、ただのお客さんだったり、近所付き合いの友人だったりと、ユーモラスな価値倒錯がおかしい、不思議なお話。でも最後はほのぼのしていたりします。水彩の繊細なタッチと可愛らしい造形、淡く美しい色彩感覚に溢れるタイナのイラストが魅力的。87年のBIB世界絵本原画展グランプリ受賞。
『ひとりぼっちのちいさなエルフ』 (2004年、フィンランド)
作:インケリ・カルヴォネン 絵:ハンヌ・タイナ
訳:つのぶえだん
新教出版社・2009年
こちらも、森の中に一人ぼっちで住むエルフが、クリスマスの日にパーティを開き、たくさんのお客さんと交流して、自分がもう一人ぼっちではない事を知るという、暖かいお話。日本の絵本とも共通するような線の太さやタッチは『ちいさなおうさま』と少し風合いが異なりますが、やはり水彩で描かれているようで、独特の美しさがあります。
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