アルビン・ブルノフスキー
(アルビーン・ブルノウスキー)
Albin Brunovsky
* 作家紹介
1935年、チェコスロヴァキアのゾホル生まれ。ブラティスラヴァ美術工芸大学に52年に設立されたグラフィック科で師匠のヴィンツェント・フロジュニークに学び、後にその科を引き継い教鞭をとる。67年にブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)の設立をバックアップしたのも彼である。
63年から80年にかけてブラティスラヴァ、プラハなど国内の他、ベルリン、デュッセルドルフ、ウィーン、ジュネーヴなど、各地で個展を開いて好評を得る。ルガーノ、パリ、リュブリャーナ、ベルリン、ブルノ他、多くの展覧会で賞を獲得。切手や紙幣のデザインにも優れた才能を発揮。67年にブラティスラヴァ世界絵本原画展で金牌、77年には金のりんご賞。68年には、その年の最も美しい本賞に選ばれる。ライプツィヒIBA賞、ボローニャ国際絵本原画展作品賞も受賞。生涯に100冊を越える絵本のイラストを描き、97年没。
多作なのに我が国ではただ1冊しか紹介されていない彼の絵本ですが、その画風は圧巻。イラストというよりは絵画と呼びたい画風で、古今の名画や宗教画を思わせる荘厳な造形を基調に、きらびやかな彩色を施し、幻想味溢れるイマジネーションを展開する様は、ページをめくる者の目を釘付けにする事でしょう。有名なBIBの創立者の一人でありながら、同賞を何度も受賞しているのもうなずけるセンスと実力です。
* 作品
『ナマリの兵隊』
『スロヴァキア童話』
他
* おすすめ
『金のりんご』 (1980年、スロヴァキア)
作・絵:アルビン・ブルノフスキー
訳:内田莉莎子
福音館書店・1982年
結婚式の日、王子が花嫁のために建てた金と銀のお城が、花嫁ごと消えてしまう。悲しむ王子は家来を集め、城を探す旅に出る。民話風の冒険ファンタジーという感じのお話ですが、ストーリーよりも絵が見事です。格調の高い、重厚かつ精緻なタッチに、魔術的な色彩感覚、幻想的な想像力の飛翔など、どのページにも才気とアイデアが溢れかえっています。絶版で値段が高騰しているのが、あまりにも残念。
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