ライカ・クペイジック
Rajka Kupesic
* 作家紹介
1954年、クロアチアのザグレブ生まれ。ザグレブ国立バレエ団のバレリーナとしてヨーロッパで活躍したという、異色の経歴の持ち主。77年にカナダへ移住し、バレエを続けながら絵画に情熱を傾け、画家としても活動。流れるようなラインにバレエの影響が指摘されており、カナダ、アメリカ、ヨーロッパでファンが増えている。夫、二人の息子と共にトロント在住。
手前の人物と、細かく描き込まれた遠景の対比、茶系のカラー・パレットで統一された古風な色彩感など、ブリューゲルを現代に甦らせたようなスタイルを採りながらも、人物の顔や表情にはディズニー・アニメのそれのような造形を用いるという、実に不思議な作風です。
* おすすめ
『森の娘 マリア・シャプドレーヌ』 (2004年、カナダ)
作:ルイ・エモン 絵:ライカ・クペイジック
訳:小池昌代
岩波書店・2005年
カナダ、ケベックの森に住み、四季を通じて、厳しい自然の中で逞しく生きるフランス移民の子孫達と、一家の娘マリアの恋。原作者のエモンは、フランスの労働者作家。1916年にカナダで初版が出て、21年にフランスで発売されるとベストセラーになったという小説が原作です。ジュリアン・ディヴィヴィエ監督、ジャン・ギャバン主演で34年に映画化されており、日本では『白き処女地』というタイトルで公開されています。
恋人の死などもある大河ドラマのようなお話なので、文章もそれなりに多く、漢字のルビも全部に振ってある訳ではありません。小学校高学年くらいからの絵本と思われます。大人にとっては、退色したようなくすんだ色合いで精緻に描き込まれた、どこか時代がかっていて神秘的な、ほの暗い絵の数々に魅了される事でしょう。
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