スティグ・リンドベリ

Stig Lindberg

* 作家紹介

 言うまでもなく北欧を代表するデザイナーの一人。1916年スウェーデンのウミュー生まれ。スウェーデン王立美術大学、コンストファックで学び、1937年に陶器メーカー、グスタフスベリに入社。ハンドメイドの絵付け陶器シリーズや壁画彫刻、陶芸のデザイナー、アート・ディレクタ−として活躍する一方、テキスタイルや絵本の挿絵も手掛ける。1982年、65歳で逝去。絵本は下記の他に『ABC』(1951)、『Daniel Doppsko』(1959)。

 絵本よりも、美術やデザイン系の分野で有名な人で、書籍もそちらの系統の方がたくさん売られているようです。西武百貨店の包装紙をデザインした事もあるそうですが、ここ最近注目されつつある北欧デザイン・ブーム(?)の中、アアルトやヤコブセンなどと並んで、特に名前をよく耳にするデザイナーですね。個性的で楽しい彼のデザインは、今でも世界中で親しまれています。英語読みで“リンドバーグ”と表記されている場合もあります。

* おすすめ

『にぎやかな音楽バス』(1948年、スウェーデン)

 作:レンナート・ヘルシング

 絵:スティグ・リンドベリ 

 訳:いしいとしこ

 プチグラパブリッシング・2004年

 “世界一大きくて赤い音楽バス、名前はブラボー。運転をするお父さんと、行き先を決めるお母さんと、双子の子供二十人が乗っています。バスは国じゅうをまわり、子供達はみんな楽器を演奏しますが、ある時みんながバラバラに楽器を吹いていてあまりにうるさいので、お父さんは曲を作って、みんな一緒に演奏させる事にしてみたところ‥‥”

 イラスト風の子供たちなど、女の子チックな可愛らしい雰囲気もありますが、1940年代に描かれたとは思えないほどモダンなデザイン感覚と色彩に溢れた、素敵な絵本です。フランスやベルギーなどのお洒落な絵本が好きな人は、きっと気に入るでしょう。本全体は、彩色されたページとモノクロのページの組み合わせになっていて、モノクロ・ページのシンプルなペン画タッチにも独特のグラフィカルな味わいがあります。一部のファンの間で長らく日本語版の登場が待ち望まれていた名作ですが、2004年にプチグラパブリッシングから、原書に忠実なデザインで発売されて以後、書店だけでなく、多くの雑貨屋さんがこの本をディスプレイしています。関西の雑貨屋さんでもよく見かけます。文章のレンナート・ヘルシングは、詩人、児童文学者としてスウェーデンで高い評価を得ている人で、下記の『ちゃっかりクラケールのおたんじょうび』でもリンドベリとコンビを組んでいます。

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『ちゃっかりクラケールのおたんじょうび』(1957年、スウェーデン) 

 作:レンナート・ヘルシング

 絵:スティグ・リンドベリ 

 訳:いしいとしこ

 プチグラパブリッシング・2003年

 クラケールと仲良しのブリッタが、誕生日に5オーレずつコインをもらい、お菓子を買いに行くというお話。こちらもヘルシング&リンドベリのコンビによる作品で、やはりユトレヒトなど通好みの書店でスウェーデン語の原書が紹介されていましたが、待望の日本語版は2003年になってやっとプチグラから出版されました。これも雑貨屋さんの定番アイテムというべき存在でしょうね。原書共々、よく見かけます。『にぎやか音楽バス』をみた後では何となくシンプルすぎて絵が寂しいというか、物足りない感じがするので、私達は購入には至っていませんが、同様のモダンで可愛らしいキャラクターや、リンドベリの本領を発揮したお皿などのデザインは必見でしょう。表紙がしゃれているので、部屋に飾るだけでもいい感じです(この場合はスウェーデン語版の方がいいかも)。

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