『ウィリーのそりのものがたり』 (1993年) |
作:ダニイル・ハルムス 絵:ウラジーミル・ラドゥンスキー |
訳:たかはしけいすけ |
セーラー出版・1996年 |
雪の丘をすべるウィリーのそりが、猟師や動物にぶつかり、みんなを巻き込んでどんどんすべってゆくというだけのお話。民謡の歌詞のような、言葉遊びのような文章が独特です。イラストもユニークで、柔らかいタッチで立体感のある画風ながら、遠近法を極端にデフォルメ。特に、目玉に映った映像まで描き込んだ、人物や動物の超クローズアップは、過激なほどにユーモラスです。 |
作者のハルムスは、ロシアを代表する児童詩人。1920年代に参加した前衛芸術家の活動で、大人向けの作品は出版が許されず、児童雑誌に発表していた作品も「人々の労働意欲を惑わした」として投獄。釈放後も政治的に不遇が続き、刑務所で不幸な死を遂げました。 |
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『おしっこぼうや』 (2002年) |
作・絵:ウラジーミル・ラドゥンスキー 訳:木坂涼 |
セーラー出版・2003年 |
ベルギーのブリュッセル名物、小便小僧にまつわる伝説を絵本化。おしっこで戦争を止めた子供のお話です。出版国名の記載がありませんが、英語表記の出版社から出ているので、著者の移住先アメリカでの出版と思われます。 |
小さくまとめられた街は切り絵でデザインされ、真ん中の広場には新聞紙が貼られるなどコラージュ風。一方、それ以外の人物や動物は、絵の具をベタベタと塗ったくったようなラフな線で描かれているのがユニークです。色彩もカラフルで美しく、子供のお絵描きみたいな童心溢れるデッサンがキュート。戦争をしている大人達が半獣半人の小人みたいに描かれていて、それが物語の寓意性を高めています。 |
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