グニラ・ヴォルデ

Gunilla Wolde

* 作家紹介

 1939年、スウェーデンのウプサラ東部育ち。画家としての専門教育を受けるため、60年代に入ってストックホルムに移転。挿絵画家、社会風刺漫画家として活躍した後、絵本作家として活動する。69年から73年にかけて出版された幼児絵本のトッテ(トミー)ちゃんシリーズ、姉妹篇のエマ(エミー)ちゃんシリーズ各10冊は、スウェーデンの子供達に今も愛され続けている名作。世界二十数カ国でも読まれている。

 白の背景にシンプルな線で描かれた可愛らしいキャラクター造形と、控えめながらハイセンスな配色が、いかにもデザインの国スウェーデンらしい、モダンな美しさを感じさせます。主人公に色を塗らないのも独特。スウェーデンの子供の日常をうまく取り込んだ優しい物語も魅力的で、左右ページで対比表現を用いたり、知育絵本的な側面もあります。わが国ではあまり普及しなかったそうですが、近年になって5作が新訳で復刻。

* 作品

『おふろにはいる』 『おしたくできたよ』

『おうちをつくろう』 『たべたのだあれ?』

『おいしゃさんへ』 『ぼくたち おばあちゃん』

『ねこちゃんあそぼうよ』 『マリーちゃんとぼく』

 (以上トミーちゃんシリーズ、偕成社)

『おとうとはだいすきよ』 『いいかお わるいかお』

『はいしゃさんへ』 『はしかになりたがったエミー』

『おそうじできるよ』 『ピーターとエミーはちがうよ』

『ほいくえんなんていきたくない』 『たのしいほいくえん』

 (以上エミーちゃんシリーズ、偕成社)

* おすすめ

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『くまくんは どこ?』 (1970年、スウェーデン)

 作・絵:グニラ・ヴォルデ  訳:つばきはらななこ

 童話館出版・2008年

 特に色合いや線が可愛い、トミーちゃんシリーズの一作。モノクロのシンプルな線で描かれた男の子と、色数を制限しながらも鮮やかに塗られたおもちゃや家具が、なんとも綺麗な対比を生んでいます。主人公トーマスがおもちゃのくまを探すだけのお話ですが、子供目線なので大仕事になっているのが可愛い。こういう文章こそ、長年子供達に愛されるんでしょうね。偕成社の旧版もありますが、本書はCDよりひと回り大きいくらいのミニ絵本で、プレゼントにもぴったり。

『トーマスぼうや』 (1973年、スウェーデン)

 作・絵:グニラ・ヴォルデ  訳:つばきはらなな

 童話館出版・2007年

 トミーちゃんシリーズの新版ミニ絵本。小さいトーマスと大きいお父さん、柔らかいぬいぐるみと堅い木のトラック、温かいオートミールと冷たいミルクという風に、左ページと右ページで対照的な物を並べてゆく、知育絵本的な作品。トーマスぼうやはニッコリと可愛いですが、横顔で表現された両親の顔立ちは大人びたイラストで、画家の別の一面を垣間みる思いです。配色がとてもきれい。 

『にこにこ エマ』 (1974年、スウェーデン)

 作・絵:グニラ・ヴォルデ  訳:つばきはらななこ

 童話館出版・2007年

 エミーちゃんシリーズの新版ミニ絵本。右ページと左ページで、反対の行動を対照させてゆく構成は『トーマスぼうや』と同じです。直線的なストーリーではないせいか、いつも以上に背景の空白が多い印象ですが、子供らしい動作と矛盾が可愛い作品。抑制された色彩も美しいです。

『エマの しごと』 (1977年、スウェーデン)

 作・絵:グニラ・ヴォルデ  訳:つばきはらななこ

 童話館出版・2006年

 エミーちゃんシリーズの新版ミニ絵本。壊れたおもちゃを直し、ケガをした弟に絆創膏を巻いてやるエマの姿を活写。『にこにこ エマ』から3年後の作品だからか、仕事にいそしむエマの姿ゆえか、ちゃんと「お姉ちゃん」に見えるのが頼もしいです。おもちゃの数々や、弟やママの描写など、見た目にもイラストが楽しい作品。

『エマと ピーター』 (1977年、スウェーデン)

 作・絵:グニラ・ヴォルデ  訳:つばきはらななこ

 童話館出版・2006年

 エミーちゃんシリーズの新版ミニ絵本。エマとお友達のピーターを対照し、二人の個性や環境の違いを描いています。このシリーズとしては登場人物も多く、マンションや家など外の風景の描写もあるので、イラスト面から特に楽しめる作品でもあります。特に主人公二人や大人達など、服装のデザインや配色のセンスに注目。

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