フィリップ・ジョルダーノ

Philio Giordano

* 作家紹介

 1980年、スイス人の父、フィリピン人の母の元にイタリア、チェッレで生まれる。ミラノのブレラ美術学校に通った後、IEDヨーロッパデザイン学院トリノ校で勉強し、アニメーション技法修士号取得。04年、ボローニャ国際絵本原画展入選、10年にSM賞受賞。絵本作家、イラストレーター。

 丸や三角、四角の図形を組み合わせた切り絵のような、グラフィカルな作風ながら、キャラクター造形の無類の可愛さや、カラフルながら趣味が良い色彩センスで図抜けた存在。どのページも、見た瞬間に魅了されるようなインパクトがあります。シンプルに抽象化しているにも関わらず、詩情も豊かだし、キャラクターの表情も生き生きとして多彩。若い世代らしくポップでおしゃれな感覚も際立っていて、童心にも溢れます。

* おすすめ

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『まっくろくろのおばけちゃんのぼうけん』 (2008年、イタリア)

 作:デヴィッド・カリ  絵:フィリップ・ジョルダーノ

 訳:戸田理香

 岩崎書店・2010年

 写真が好きなのにまっくろくろの島に住むおばけちゃんが、もっとカラフルな写真が撮れる他の島を探しに、相棒のこうもりさんと旅に出る。いたばしボローニャ子ども絵本館主催・いたばし国際絵本翻訳大賞のイタリア語部門受賞作品。

 お話に合わせたのか、この時期のジョルダーノがこういう作風だったのか、とにかく下記の2作とはスタイルが違います。最後のページまで原色はあまり使わず、中間色をメインにしているし、図形のようなグラフィカルな造形よりも、くねくねとした曲線を多用。キャラクターも、こう言っては何ですがあまり可愛くはありません。魚や鳥などは童心をもって描かれていますが、立体ではなく線画なのが独特。全体にアニメチックにデフォルメしたようなタッチです。

『ロディ と ほしたち』 (2015年、日本)

 作:ガブリエレ・レバリアーティ  絵:フィリップ・ジョルダーノ

 株式会社KADOKAWA・2015年

 こうまのロディが、二人の子供ルーカとサラを不思議な旅にいざなう。雑貨屋さん等でも人気のキャラクター、ロディ(Rody)を主人公にした絵本。ちなみにロディとは元々イタリアの乗用玩具で、バランスボールの製造会社レードラプラスティック社がその技術を用いて作ったもの。今では様々なグッズが出ていて、専用サイトまであります。

 作者のレバリアーティは食品メーカーのフェレロでお菓子のマーケティングや商品開発、キャラクター創作に携わった人。現在は日本でイタリア語翻訳者、イタリア語教師として活動しており、本作の文章も日本語です。カラフルなのに繊細な配色、あまりにもキュートなキャラ造形、グラフィカルなデザイン・センスなど、ジョルダーノの才気が迸る、楽しくて可愛い絵本。どのページもイラストが素晴らしいので、末永く愛され続けて欲しいです。

『ふうせんであそぼう』 (2015年、日本)

 作:高橋淳  絵:フィリップ・ジョルダーノ

 福音館書店・2015年

 月刊予約・科学絵本「かがくのとも」通巻559号(2015年10月号)という事で、日本企画ですが一般に流通していない本。付録として風船も付いていたようです。科学絵本だけあって、風船で遊ぶ方法を語りかける内容ですが、ジョルダーノのポップなイラストがどこまでも素敵。子供達のキャラクターがすこぶる可愛い上に、全体が躍動感に溢れ、クローズアップから遠景まで構図も変化に富みます。カラフルながら上品にまとまった配色も素晴らしく、なんとか一般用に発売して欲しい作品。

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