ニコレッタ・チェッコリ

(ニコレッタ・セコリ)

Nicoletta Ceccoli

* 作家紹介

 1973年、イタリア中部にある独立国サン・マリノ共和国に生まれ、現在も在住。ウルビーノの美術学校でアニメーションのイラストレーションを学び、ボローニャ国際絵本原画展にもしばしば入選。97年、ブラティスラヴァ国際絵本原画展に入選、01年に国際アンデルセン賞、06年にニューヨークのソサエティ・オブ・イラストレーターズ銀賞など、受賞歴多数。

 アクリル絵具やテンペラ、水彩絵具など、多様な技法をミックスして用いる。イタリアや台湾の出版社から絵本を発表。イタリア最高の絵本イラストレーターと言われています。人形を思わせるキャラクター造形が古い人形アニメを連想させたり、柔らかく立体的なタッチがCGアニメーションを連想させたりする、不思議な作風。

 美しく陰影に富んだ色彩センスと斬新な構図、シュールなセンスと格調高い伝統の継承など、相反する様々な要素を内包する彼女の画風は、一筋縄では行きません。タロット・カードなども手掛けているのは上品さが評価されてでしょうが、個人的にはミステリアスな内容より、可愛い題材を扱った時により魅力が出るように思います。

* 作品

『Little Red Riding Hood』

『An Island in the Sun』

『The Fairy' Gift』 (以上、Barefoot Books)

『L'uomo della Luna』

『La bambina bianca』 (以上、Edizioni Arka)

『Cinderella』 (Amazon Children's Publishing)

『A Dignity of Dragons』 (Houghton Mifflin Books for Children)

 他

* おすすめ

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『なみだどろぼう』 (2007年、イギリス)

 作:キャロル・アン・ダフィ  絵:ニコレッタ・チェッコリ

 訳:こしばはじめ

 新樹社・2011年

 涙と共に哀しみも拭い取る、涙泥棒の女の子のお話。作者ダフィは2009年、女性として初めてエリザベス女王から任命された第22代桂冠詩人。ケイト・グリーナウェイ賞も受賞しています。チェッコリ特有のテイストは十分出しながら、神秘性よりもキュートなタッチが前に出ている点で親しみやすい本です。メルヘンチックなお話も素敵。本書では「ニコレッタ・セコリ」と人名表記されています。

『はくぶつかんのおしろのおんなのこ』 (2008年)

 作:ケイト・バーンハイマー  絵:ニコレッタ・チェッコリ

 訳:黒田慎介

 バベルプレス・2016年

 博物館にあるお城の模型に住む女の子のお話。途中で、読者に写真を貼る事を促すページなどもあります。しかしこちらは『なみだどろぼう』と違って、シュールでミステリアスなムード。全編ひらがなで文章が書かれていて、お話も子供向けですが、絵の色合いはほの暗いし、彼女特有の、目の離れた人形っぽい造形が全編で展開されています。

 最後のページも、一歩視点をずらせばホラーになりそうなエンディング。それでいてメルヘンチックなタッチは十二分に感じられますが、ダーク・ファンタジーやゴシック風とまでいかないのは、線が丸みを帯びているからかも。原書出版国不明。

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