『ペトルーシュカ』 (1970年、チェコ) |
作:オルガ・ヘイナー 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:高橋ひろゆき |
佑学社・1978年 |
ペトルーシュカと踊り子、ムーア人という3体の操り人形による三角関係の悲劇。ストラヴィンスキーのバレエ音楽としても有名なロシア民話です。ここではバレエ版と違い、人形使いに死神の手が迫るというかなり恐ろしい結末が特色。文章が多いですが、生き生きと詩情豊かな再話が素晴らしいです。 |
クドラーチェクのイラストは、パッチワークのような手法でカラフル。人形達の可愛らしい造形も見どころですが、分量としてはあくまで挿絵の部類です(ただしオールカラーで絵だけのページもあり)。名作バレー物語シリーズとして出ている日本版は入手困難な上、布張りの表紙が付いた大型の豪華本で、絵本のコレクションには不向きかも。 |
|
|
|
『雨ひめさまと火おとこ』 (1972年、チェコ) |
作:テオドール・シュトロム 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:塩屋竹男 |
佑学社・1978年 |
こちらも世界の名作童話シリーズとして出ている、分厚い表紙の大型本。やはり文章がメインでイラストは挿絵の扱いですが、オールカラーで全てのページに絵が入っているし、絵だけのページもあります。ただし入手困難。民話風のフェアリー・テイルはどこの国が舞台なのか明記されていませんが、マーレン、アンドレース、シュティーネという登場人物や作者の名前からして、ドイツ語圏のお話と思います。 |
パッチワーク風のタッチや配色にクドラーチェクらしさが出ていますが、全体的には同じ国のイジー・トゥルンカ辺りを思わせる画風で、格調高く美しいもの。こういう素晴らしいイラストが埋もれてしまうのは残念なので、是非復刻して欲しいです。 |
|
|
|
『おんなのことあめ』 (1974年、チェコ) |
作:ミレナ・ルケショバー 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:竹田裕子 |
ほるぷ出版・1977年 |
国民的絵本作家がコラボレーションした、おしゃれで可愛い絵本。ある雨の日の、女の子と雨、動物達の交歓を、詩情豊かに描いています。物語というよりも散文詩で書かれたスケッチという感じ。淡く微妙な色彩と、チェコの画家らしいデッサン、優れたデザイン感覚が素晴らしいです。文章は少なめで、全てひらがなで書かれているので、小さなお子様にもお薦め。ちなみに本書は、著者名が「クドラーチェク」となっているので注意。 |
|
|
|
『チョウさん さようなら』 (1975年、チェコ) |
作:ミレナ・ルケショバー 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:竹田裕子 |
岩崎書店・1976年 |
女の子リージンカと蝶々の優しいお話。クドゥラーチェクのイラストも可愛らしく素敵で、豊かな自然の描写も彼ならでは。入手困難なのが悔やまれます。北欧や東欧の雑貨が人気のこの時代、こういう絵本は復刻して然るべき場所で宣伝すれば、ある程度は絶対に売れると思うのですが。 |
|
|
|
『あき みつけた』 (1976年、チェコ) |
作:ミレナ・ルケショバー 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:三宅みち |
日本基督教団出版局・1987年 |
主人公じゅりあんが秋の森を歩き回る様子を、散文詩で描いたひたすら美しい絵本。少年の造形も服装や帽子を含めて絶妙な可愛さですが、顔の付いたどんぐりの実やひまわり、松ぼっくりなど、自然の描写も情緒豊か。紅葉の色彩感をはじめ、どのページも一瞬で心奪われる美しさです。 |
本書では著者名が「ルケショワ」「クドラチェク」となっているので検索に注意が必要ですが、そもそも一般の流通経路には乗らなかったのか、入手が超困難。マメに古書を探すしかありません。 |
|
|
|
『ゆきのおうま』 (1978年、チェコ) |
作:ミレナ・ルケショバー 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:千野栄一 |
ほるぷ出版・1984年 |
吹きすさぶ雪を白い馬で表現した、詩情豊かな絵本。起承転結のある物語ではなく、ある雪の日のスケッチという感じです。子供達の造形はイジー・トゥルンカのスタイルと共通点がありますが、立体的でリアルながらころりと可愛らしい動物達はクドゥラーチェクならではの画風。落ち着いた味わい深い色彩感や、背景の美しさにも注目です。 |
|
|
|
『おやゆびひめ』 (1978年、日本) |
文:横田弘行 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
学習研究社・1978年 |
学研、せかいのおはなし全12巻の第7巻に収録。1冊に4話入っているオムニバスで、他は『ばけくらべ』『うかれバイオリン』『はなさかじいさん』(全て日本人の文、絵です)。オリジナル・データ等の記載もなく、文章も「訳」ではなく「文」となっているので、恐らくは日本企画のオリジナルと思われます。 |
クドゥラーチェクは、森の生き物(特にカッパや両生類)を描く時にややグロテスクなデザインも行ったりする人ですが、人間の造形は縮尺や衣服、表情が絶妙に可愛いです。本書のおやゆびひめも、小じんまりとして実にキュート。お得意の、生命力溢れる自然や生物の描写も全開です。 |
|
|
|
『ジャックとまめのき』 (1978年、日本) |
文:佐野語郎 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
学習研究社・1978年 |
こちらも学研、せかいのおはなし全12巻の第8巻から。他の収録作は『きたかぜのくれたテーブルかけ』『さんまいのおふだ』『ハメルンのふえふき』(全て日本人の文、絵)。お得意の森の生物があまり出て来ず、人間がメインのお話なので少し雰囲気は違いますが、タッチは完全にクドゥラーチェク流。豊かな色彩感も健在です。尚このシリーズでは、著者名が「クドウラーチェク」となっています。 |
|
|
|
『おかしな結婚式』 (1980年、チェコ) |
作:ボフミル・ジーハ 絵:ヤン・クドゥラーチェク |
訳:井出弘子 |
童心社・1986年 |
イジー・トゥルンカと組んだ『わんぱくビーテック』など、ビーテク・シリーズで知られる作家ボフミル・ジーハが、80年のアンデルセン賞作家賞受賞記念として出版されたのが本書。かっぱの親分スターレクじいさんと川の生き物達によるおとぎ話ですが、絵本ではなく、文章がメインの挿絵扱い(ただしイラストはほとんどがカラー)。クドゥラーチェクが得意とするかっぱや魚など、水生生物の描写が満載です。 |
|
|
|
|