クリスティーナ・ディーグマン

Kristina Digman

* 作家紹介

 1959年、スウェーデンのエーテボリ生まれ。西海岸の街、ボースタードで育つ。ストックホルムの美術学校で学んだ後、デンマークのコペンハーゲン美術アカデミーで、絵画と彫刻を学ぶ。01年から子供の本のイラストレーターとして活躍。05年、一連の作品に対してエルザ・ベスコフ賞受賞。

 繊細な筆致で描かれた自然の描写と、妖精を思わせる子供達、美しい色彩はいかにも北欧のイラストレーターらしいですが、特に個性的なのが子供達の顔立ち。どこか「ちびまる子ちゃん」みたいなアニメチックな表情が、欧米の絵本には珍しく感じられます。

* 作品

『ぼくのかわいいおさるちゃん』 (岩波書店) *児童書、挿絵

 他

* おすすめ

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『りんごのえほん』 (2002年、スウェーデン)

 作:ヨレル・クリスティーナ・ネースルンド

 絵:クリスティーナ・ディーグマン

 訳:武井典子

 偕成社・2008年

 一年間を通じて、りんごの木について説明した絵本。著者のネースルンドは、料理本や食物関係の本を出版しているジャーナリストですが、りんごを愛し、りんご研究家としても知られているとの事。他にも、りんごに関する著作を発表しているそうです。

 しかしページ構成は変化に富み、多彩な鳥や昆虫、動物達など自然の描写、テーブルクロスやジャム、食器など北欧雑貨のさりげない書き込みなど、随所に著者らしい美しさが溢れています。りんごの精なのか、小さな男の子と女の子のキャラクターは例によってディーグマン流。最後にお菓子のレシピも載っています。

『ちいさなふゆのほん』 (2005年、スウェーデン)

 作:ヨレル・クリスティーナ・ネースルンド

 絵:クリスティーナ・ディーグマン

 訳:菱木晃子

 福音館書店・2006年

 子供達の冬の楽しみを、一組の男の子、女の子を通して描いたスケッチ風の絵本。ただ「子供達」としか書かれていませんが、鳥やバケツより小さかったりするので、何かの精のようです。多種多様な鳥たちや植物など、自然のリアリティが格別。ちょっとした動作や遊びから、服装まで全てが可愛く、さすが北欧の絵本作家という感じがします。

『フローラのにわ』 (2007年、スウェーデン)

 作・絵:クリスティーナ・ディーグマン

 訳:菱木晃子

 福音館書店・2009年

 森に住む小さな女の子フローラが、道に迷って新しいお友達に出会うお話。虫と同じくらいの大きさなので、彼女はたぶん妖精ですが、顔は例によって日本の漫画風です。でも可愛い。やはり動植物の描写が圧倒的に美しく、詳細。ツグミやハリネズミもキュートですが、てんとう虫やカタツムリに人間っぽい顔が付いているのは笑えます。

『ペーテルとペトラ』 (2007年、スウェーデン)

 作:アストリッド・リンドグレーン

 絵:クリスティーナ・ディーグマン

 訳:大塚勇三

 岩波書店・2007年

 小人族の2人が人間の学校で勉強するお話。スウェーデンを代表する児童文学作家リンドグレーンの49年作で、主人公をはっきり「小人」と書いているのは、ここで取り上げたディーグマン作品で本書だけです。街の話ですが、服装や自然の描写は美しく、可愛らしいもの。人間の友達グンナルとの交流は別離に終りますが、しんみりしているようで、どこかさっぱりもしているのは児童文学らしい所。

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