福田 利之

Fukuda Toshiyuki

* 作家紹介

 1967年、大阪府大阪市出身。大阪芸術大学グラフィックデザイン科卒業後、イラストレーターとして活躍をはじめる。装丁、広告、CDジャケットなど幅広く手がけ、13年にテキスタイルのブランド、十布(テンプ)を立ち上げる。

 専業の絵本作家ではないですが、自身で文章を手掛けた作品もあり、絵本に対する愛情が感じられます。彼のデザインは、北欧や東欧の影響を感じさせるものも多く、絵本においても、人物造形にどこかチェコの絵本を彷彿させる、レトロでノスタルジックなセンスが窺われます。教えられなければ、日本人が描いた絵だとは分からないでしょう。

* 作品

『ふたり』 (ミルブックス)

『たかいたかーい』 (主婦の友社)

『Baby Book』 (コクヨST) *共著:藤本智士

 他

* おすすめ

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『コジナ帖』 (WORLD COM・2006年)

 著:福田利之

 本書は絵本ではなく、画集。巻頭にある福田氏の説明では、漢字で書くと「小品帖」。ほぼ原寸大の小さな絵を並べた作品集との事です。どのページも可愛くてガーリーな感じ。イラストというより、貼り絵みたいな手法がほとんどのようです。ところどころ、散文詩のような短い文章が入っているのも好印象。薄い本ですが、縦に長いサイズ感は独特です。

『ミニカーミュート だいかつやく!』 (アリス館・2009年)

 作・絵:福田利之

 大きな車たちから馬鹿にされていたミニカーが、活躍の場を得るお話。和紙なのか何なのか、しわしわのキャンバスに描かれている上、レトロな味わいのある配色が絶妙です。ミュートや車、動物、人間のデザインもみな可愛いですが、顔の表情がまるでチェコの古い絵本のようで、日本の絵本ではあまり感じる事のない、ノスタルジックな気分が横溢します。道沿いの並木や動物園なども、東欧風のタッチに要注目。

『ぼくはうさぎ』 (あかね書房・2014年)

 作:山下哲  絵:福田利之

 飼い主のさえちゃんのために、犬になる勉強をはじめたうさぎのお話。何ともほっこりと優しい絵本です。作者は「ほぼ日刊イトイ新聞」の編集者で、テレビやアニメの脚本なども手がけている人。こちらも少女達の造形や全体の色合いがチェコの絵本を思わせて独特で、不思議にレトロチックな雰囲気が漂います。人気ブックデザイナー、名久井直子が装丁を担当。

『福田利之作品集』 (玄光社・2015年)

 絵本ではなく、書籍の装丁やポストカード、CDジャケット、缶や人形などの立体作品と、イラストを中心にカラーで掲載した単行本サイズの作品集。絵本を見て福田氏のイラストに興味を持たれた方は、その世界観がより多彩に展開していて楽しいと思います。ブックデザイナー、名久井直子との対談も収録。

『福田利之といくフィンランド 仕事すること 遊ぶこと』

 (玄光社MOOK・2016年)

 絵本ではなく、著者がフィンランドで様々なアーティストに取材をしたオールカラーの写真本。マリメッコのディレクター、現地ブランドのデザイナーや個人アーティストなどにインタビューしています。日本人の木工作家やフェルト作家も登場。後半は本業を離れ、市場や美術館や森を訪れたり、料理をしたり、スケートをしたり、カフェやレストランを見つけたリ、タイトル通りちゃんと遊んでいます。巻頭数ページには、著者のイラストもあり。

『赤い金魚と赤いとうがらし』 (ミルブックス・2017年)

 作:高橋久美子  絵:福田利之

 ひとりぼっちの赤い金魚、ピッピロ。ある日、赤くて辛い物が金魚鉢に落ちてきた。元チャットモンチーのドラマーで、現在は詩人・作家として活躍する高橋久美子の作になる絵本。シュールなエンディングは、一般的な絵本の展開と一線を画します。

 個性的な人物造形やデザイナー気質が現れた画面構成、レトロチックな色彩センスに福田利之らしいテイストが満載されていますが、所々に漫画のようなデフォルメがあるのはユニーク。本書も名久井直子が装丁を手がけています。

『祈る子どもたち』 (ミルブックス・2017年)  

 作:目黒実  絵:福田利之

 大人向けの絵本。文章も、漢字にルビがありません。地球の誕生、人類の誕生から、ひたすら森羅万象に名前を付けて世界に祈り続ける子どもたち、アーダとハンヌの姿を美しく描きます。物語というよりも叙事詩のような文章を書いたのは、日本初のチルドレン・ミュージアムをプロデュースし、各地で子どもプロジェクトを主宰する目黒実。イラストも可愛らしさより、壮大さや神秘性、荘厳さを全面に出しています。

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