『いつまでも大切なもの』 (1977年、フィンランド) |
文・陶版:ヘルヤ・リウッコ=スンドストロム |
訳:稲垣美晴 |
猫の言葉社・2014年 |
著者の絵本作家としてのデビュー作。「ぬいぐるみの涙」「青い天国へ行った猫」「すてられた洗濯機」という3つのお話のオムニバスで、どれも「大切なもの」について考えさせられる物語になっています。左右のページにそれぞれ文章、イラストが配置された構成なので、文章は多め。ただ漢字にはルビがふってあり、平易な日本語に訳されていて、小学生なら読める内容です。 |
イラストは後年のタッチと違い、淡いながらもたくさん色が使ってあって、美しくかわいい造形と共に楽しめます。陶板そのままではなく、後で線や配色に手を加えている様子。細部にはやや漫画っぽい雰囲気もあったりします。ファンタジックな物語に、どこか浮世離れした幻想的なイラストがマッチしています。背景の自然描写には、北欧の人らしいセンスもあり。 |
|
|
|
『地平線のかなたまで』 (1981年、フィンランド) |
文・陶版:ヘルヤ・リウッコ=スンドストロム |
訳:稲垣美晴 |
CBS・ソニー出版・1982年 |
うまく跳べない子うさぎ君が、自分の長所を発見するまでの物語。複雑なストーリーではないですが、文章がかなり多く、漢字にルビが振られていないので、小学校高学年くらいでないと難しいかもしれません。うさぎの学校の様子は可愛いし、森や平原など自然の描写が美しいのも、北欧のアーティストらしい所。ただ、デビュー作と較べるとかなり淡彩で、ほとんどモノトーンに近いイメージです。 |
|
|
|
『天使に守られて』 (2004年、フィンランド) |
文・陶版:ヘルヤ・リウッコ=スンドストロム |
訳:稲垣美晴 |
猫の言葉社・2017年 |
本書は絵本というより、詩画集のような体裁の本。ページをめくるごとに現れる、天使にまつわる陶板画に、それぞれ短い散文詩風のキャプションが付けられています。バラバラの内容ではなく、一貫した連続性の元に制作されてはいるようですが、はっきりとした物語がある訳ではありません。相変わらず、清澄で上品な美しさと漫画チックな可愛らしさを兼ね備えた画風。やはり淡い色彩を用いていて、モノトーンに近い配色と言えます。 |
|
|
|