『マルスさんとマダムマルス』 (原生林・1997年) |
絵と文:ささめやゆき |
フランス、ノルマンディの海辺にあるエッケールドルヴィルという小さな村に滞在していた著者が、大家さんの夫婦とこの村の出来事を綴った、エッセイ風の画集。各ページ見開きで、短い文章とイラストのペアになっていて、人生の機微を感じさせる言葉たちと、アクリルを駆使したおしゃれで味わい深い画風が素敵です。文章も手頃な分量だし、小さなサイズの本なので、ちょっとした読み物や贈り物に。 |
|
|
|
『おもちゃ屋へいったトムテ』 (福音館書店・1998年) |
作:エルサ・ベスコフ 訳:菱木晃子 絵:ささめやゆき |
正方形に近い小さめサイズの絵本。自身も絵本作家であるベスコフのお話に挿絵を付けたものです。文章が多いので、挿絵入り読み物と絵本の中間くらいの体裁。文章と絵のバランスは様々ですが、全ページ・カラーなので、絵本として充分な読み応えがあります。 |
|
|
|
『幻燈サーカス』 (BL出版・2003年) |
作:中澤晶子 絵:ささめやゆき |
散文詩のような文章に対して各ページにイラストが付く、詩画集のような本。祖父江慎によるブックデザインが美しく、文章ページにもそれぞれカラーの背景が付いて、レトロチックなフォントも印象的。ガラス絵の主手法が全面的に展開されていて、ダークな方向へ傾倒するこってりとした原色が、妖しくも甘やかなサーカスの世界へ読者をいざないます。 |
|
|
『ブリキの音符』 (アートン・2006年) |
作:片山令子 絵:ささめやゆき |
小説と散文詩の中間のような文章にイラストが付く、美しくグラフィカルな本。詩人でもある片山令子の文章はかなり難しく、理解しようというよりは、音楽のように言葉の響きを聴くのが良いようです。得意の画風を駆使した、ヨーロッパやアメリカの風景を喚起させるイラストが、見る者を惹き付けます。 |
|
|
|
『ヘッセの夜 カミュの朝』 (集英社・2008年) |
絵・文:ささめやゆき |
「すばる」誌1998年1月〜2005年12月号の表紙を飾った絵から60点を集めた単行本。文学がテーマとの事ですが、それだけでなく映画や演劇なども対象になっています。 |
お得意のこってりとした色合いで書かれたヨーロッパ的な雰囲気の絵はどれも素晴らしいですが、近松門左衛門の「冥土の飛脚」や鶴屋南北の「東海道四谷怪談」など日本文学も多く取り上げられていて、著者の画風としては異色のものも見られるのが楽しい所。白とグレーのシンプルな配色に金文字の装丁もハイセンスです。 |
|
|
|
『サーカスのしろいうま』 (小学館・2010年) |
作:石津ちひろ 絵:ささめやゆき |
『リサとガスパール』シリーズの翻訳などで知られる、石津ちひろが文章を担当した絵本。歌の得意な少年ミハエル、白馬のニジンスキー、バイオリン弾きのニーナが織りなす、優しく暖かいお話です。ロシアらしき外国を舞台にした物語は、いかにもささめやゆきの画風にマッチする作りで、当て書きみたいにイメージのはっきりしたコラボだったようです。 |
|
|
|
『イワンのむすこ』 (河出書房新社・2011年) |
作:蜂飼耳 絵:ささめやゆき |
牧野千穂と組んだ『うきわねこ』等でも人気の、蜂飼耳作の絵本。ロシア民話の「イワンのばか」と似ているようで違う物語です。アーティスティックなセンスと童心、民芸美術の要素が渾然一体となった独特の画風がいつもながら見事。この人のイラストは、絵本好きの心を絶妙にくすぐります。濃厚ながらよく計算された配色と構図、随所に挿入されたロシア語の文字も雰囲気満点。 |
|
|
|