コンスタンツェ・フォン・キッツィング
Constanze von Kittzing
* 作家紹介
6歳で絵本作家を志す。子供絵画教室で10年間、ワイマールのバウハウス大学などで5年間学んだ後、イラストレーターとしてデビュー。やがて絵本の仕事に集中し、2010年ボローニャ国際絵本原画展入選。世界十数カ国で絵本が出版されている。ドルトムントの美術学校でイラストレーションを教えている。ケルン在住。
まだ作品が少ないですが、シンプルな画面の中にも可愛らしいキャラクターや奥深い叙情、巧みな遠近法や色彩センスを展開する、非常に美しい絵本を作る人です。
* おすすめ
『さむがりペンギン』 (2011年、スイス)
作・絵:コンスタンツェ・フォン・キッツィング
訳:広松由希子
小学館・2016年
さむがりのペンギンが、何をしたら暖かくなるかを考えるだけのミニ絵本。背景は白と水色を適当に塗りたくった壁紙みたいにシンプルなもので、ほとんど主人公だけしか登場しないという、ユニークな内容です。文章も各ページにワン・センテンスくらいしかなく、ラスト2ページはその文章もありません。それでも最後にロマンティックな味付けでほっこりさせる、4コマ漫画のような起承転結が素敵。
表現を絞り込んだスカスカの画の中、キャラクター造形の可愛らしさと、行間に漂う情感の豊かさで読ませてしまうセンスと才能は、非凡という他ないでしょう。同じペンギンを描いても、スケートの場面では小さなペンギンをたくさん出して躍動感を表現し、転んだ場面では胴体だけを大きく切り取るなど、遠近法の演出も秀逸。寒色系のカラー・パレットの中に、真っ赤なマフラーを際立たせる色彩設計にも唸らされます。タッチや陰影の付け方も美しく、他の作品を見てみたくなる絵本作家です。
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