ジャーヴィス

(ピーター・ジャーヴィス)

Jarvis

* 作家紹介

 イラストレーター、アニメーター、アニメーション監督、ウェブ・デザイナーなど、ヴィジュアルの分野で多彩な才能を発揮しているクリエイター。初めての絵本作品『アランの歯はでっかいぞ こわーいぞ』で、17年のV&Aイラストレーション・アウォード、ベスト・イラストレーション賞を受賞。イギリス、マンチェスター在住。

 恐らく混合技法だとは思うのですが、クレヨンや色鉛筆のようにも見えれる箇所もあれば、コンピューター・グラフィックのようにも見えたり、切り絵風の線もあれば、水彩のような微妙な陰影もあるという、不思議な画風。カラフルな原色を多用しているのに、色彩は散らからず、むしろシックにセンス良くまとまって見えるくらいです。造形もポップで、商業広告のようにグラフィカルに見えたり、絵本らしい可愛らしい童心や、漫画チックなデフォルメがあったり、一筋縄ではいかないスタイル。

* おすすめ

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『アランの歯はでっかいぞ こわーいぞ』 (2016年、イギリス)

 作・絵:ジャーヴィス  訳:青山南

 BL出版・2016年 

 大きな歯で頑張ってみんなを怖がらせていたワニのアランが、大事な入れ歯を無くしてしまって・・・。カラフルだけどセンスの良い配色、ポップでグラフィカルながら絶妙に可愛いデザインが、目を楽しませてくれる絵本。日本語の文字も、サイズが変化したり手書き風だったり、多彩なフォントを駆使してイラストの中に溶け込んでいます。

『ホッキョクグマと南極のペンギン』 (2016年)

 作:ジーン・ウィリス  絵:ジャーヴィス

 訳:青山南

 BL出版・2017年

 南極のペンギンと北極の白熊が世界中を旅するお話。『アランの歯はでっかいぞ こわーいぞ』と較べると、優しく柔らかいタッチのイラストが多く、造形も絵本らしい可愛さが増した印象です。動物のキャラクターや背景の描き込みも、より繊細になった感じ。世界を旅するお話なので、背景の多彩さも楽しめます。ポップなデザイン感覚も素敵ですが、鮮やかなのに美しくまとまった色彩センスに目を奪われる絵本。

『もぐらのモリスさん おうちにかえりたい!』 (2018年、イギリス)

 作・絵:ジャーヴィス  訳:青山南

 BL出版・2018年

 メガネを忘れたまま、当てずっぽうに掘り進んでなかなか家に帰れないもぐらのお話。間違って色々な動物の家に出没するので、ページごとに様々な変化が楽しめます。相変わらず、カラフルでハイセンスな配色が見事。キャラクターや背景のデザインも可愛いです。コントのオチみたいな最後のページもユーモラス。

『クリスマスツリーをかざろう』 (2018年、イギリス)

 作:パトリシア・トート  絵:ジャーヴィス

 訳:なかがわちひろ

 BL出版・2018年

 ある一家がクリスマスツリーを作り上げるまでを情感豊かに描いた、素敵な絵本。ジャーヴィスらしいタッチは維持しながらも、人間の日常生活を描写しているせいか、色彩も線もより繊細で優しく、階調も複雑な印象を受けます。ページごとにレイアウトにメリハリを付け、多様さを演出しているのはさすが。とにかく色合いが美しいです。

『トロピカル テリー』 (2018年、イギリス)

 作・絵:ジャーヴィス  訳:青山南

 BL出版・2019年 

 小魚のテリーは、キラキラした魚たちと遊んでもらえないのが悩み。そこである日、キラキラのがらくたを集めてきて・・・。調子に乗って失敗した主人公が本当の友情に気付くという、よくある教訓物語ですが、正にトロピカル・カラーを駆使しながらも、センスの良い配色でまとめたイラストで、可愛らしく上品に読ませます。海中が舞台なのでページが一本調子になりがちな分、熱帯魚の群れやイルカ、巨大ウツボを出してダイナミズムを工夫した印象。

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