特集  安曇野・絵本館めぐり2007夏

 信州・安曇野は美術館の宝庫です。自転車で回れる範囲内に、安曇野山岳美術館、ツタの絡まる教会が印象的な碌山美術館、安曇野ジャンセン美術館、アートヒルズ、成瀬政博のギャラリー・バナナムーンをはじめ、様々な美術館があります。私達はというと、もっぱら絵本関係のミュージアム狙いで、朝一番でレンタサイクルを借りて、絵本館とそば屋を次々に回った次第です。そば屋の方はブログでご紹介するとして、ここでは私達が回った三件の絵本館をご紹介致しましょう。

* 安曇野絵本館

 森の中の小道を上ってゆくと、少し開けた場所に現れるおしゃれな三角屋根の建物。決して広くはありませんが、大人向けの絵本館という事で、とても居心地の良い、落ち着いた雰囲気のギャラリーになっています。1階は季節ごとに企画展が行なわれるミニ展示室とカフェ・スペース。入場券にワンドリンクが付いているので、カフェでゆっくりできます。外のテラスにも席がたくさんあり、森に囲まれながらコーヒーでもいただくと最高ですが、私達が行った時は酷暑まっただ中で、残念ながら諦めました。

 ちなみに、この時の企画展は酒井駒子の絵本原画展。どの絵も素晴らしくて、やはり印刷されると原画の良さが失われてしまって、十分には伝わらないものだと痛感。カフェ・スペースは吹き抜けになっていて、ログハウス風の館内は開放感たっぷりです。二階は世界各国の絵本やリトグラフを販売するショップ。絵本好きの好奇心をくすぐる秀逸な品揃えで、思わず長居してしまいました。

* 絵本美術館&コテージ 森のおうち

 こちらも森の中にある美術館。アカマツの森に囲まれた沿道を歩いてゆくとオブジェが立っていて、中に入ると、今度は柱の上に巨大なハンプティ・ダンプティが。こちらは、いせひでこの『ルリユールおじさん』の原画展でした。展示室の中には、ミニ・コンサートが行なわれる広い一室もあります。ただしショップは、小さな子供向け絵本中心の品揃え。併設されている喫茶店は、“注文の多いカレーライス”“雨ニモマケズとまとごはん”など、一風変わった名前のメニュー多し。

* 安曇野ちひろ美術館

 ツアーに組み込まれたりして観光バスがひっきりなしにやってくる、有名な美術館。先の二館とは規模が違って、大きな美術館です。展示室も多く、勿論いわさきちひろの作品はメインで堪能できますが、よく知られているように、海外絵本の原画を一万点近くも収蔵していて、その一部も展示室を設けて公開しています。今年で開館10周年という事で、まだまだ新しくて綺麗ですが、木の質感を生かした館内は温もりを感じさせ、昼寝用のリラックスチェアや図書室があったり、周囲が広い公園とお花畑になっていたり、単なる美術館を越えたくつろぎ施設になっているのも、休暇で来ているご家族には嬉しい所。

 私はそれほどちひろ作品に興味があった訳ではありませんでしたが、こうやってまとめて原画を鑑賞すると、その詩情、美しさに息を飲みますし、レトロチックな初期作品が今の目には凄くハイセンスに映ったりして、あっという間にファンになってしまいました。幸い、広々としたミュージアム・ショップは絵本や画集、グッズ関係を多数販売。にわかファンになった人でも安心です。

 もう一つお薦めしたいのが、カフェ・コーナーでいただけるアールグレイりんごジュース。地元産のリンゴを使ったジュースとアールグレイが二層になった逸品で、一口含んだだけで感動の雄叫びを上げてしまいました。ただし、ここは先の二館と違って、安曇野駅から自転車で行くとちょっと遠すぎるので注意(それでも行く人はいるそうですが)。

 

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