エンニオ・モリコーネ

Ennio Morricone

 1928年、ローマ生まれ。イタリアを代表する映画音楽の巨匠で、ハリウッドでもよく知られた人。わが国にもファンは多く、NHKの大河ドラマ(『武蔵 MUSASHI』)を手がけた事もあります。何といっても『荒野の用心棒』などマカロニ・ウェスタンで有名ですが、私の世代だと『ニュー・シネマ・パラダイス』のイメージが強烈。

 ただ、ベテランすぎてあまりに作品が多く、全貌が掴み辛い作曲家でもあります。ダリオ・アルジェントやブライアン・デ・パルマ作品、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』など、ホラー映画まである所が恐ろしいです。

*お薦めディスク

『アンタッチャブル』

 The Untouchables (1987年 A&Mレコーズ)

 デ・パルマ作品では珍しくまともなアクション物。なぜかあまり有名ではありませんが、個人的にものすごく好きなサントラです。オーケストラが雄大なスケールで高揚する、勇ましくも感動的なテーマ曲は、日本でも何かのCM(車?)に使われていましたが、その時のインパクトも相当でした。フルートによる愛のテーマや、アル・カポネの屋敷で流れるエキゾチックで怪しげな音楽など、メロディ・メーカーの才覚と独創的なセンスも満開。

『ニュー・シネマ・パラダイス』

 Nuovo Cinema Paradiso (1988年 EMIジェネラル・ミュージック)

 映画音楽史に燦然と輝く名盤。私は、映画自体はさほどの出来とは思わないのですが、この音楽は歴史に残る名作だと思います。何といっても、幾つかあるテーマの全てが超絶的に素晴らしいのが凄い所。誰もが聴いているだけで涙が溢れてくる旋律なんて、そうそう書けるものではありません。むしろ、この音楽のせいでみんな良い映画だと思い込んでいるのではないかというくらいです。

 私もアマチュアで作曲をやっていますが、これらはもう、作曲家なら誰もが書きたいと思うメロディばかり。モリコーネほどの長いキャリアがありながら、どうして本作の時にだけ集中的に霊感が溢れてきたのか、音楽の神様は不思議という他ありません。次男のアンドレアが共作者としてデビューした曲も、4曲あります。

 優美な歌いっぷりで聴き手を魅了するオーケストラの演奏も、サントラの一般的な水準を凌駕するクオリティ。尚、本作のサントラには最初に出たオリジナル版と、新たに9曲を追加した完全版があるので、購入の際は要注意です。

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