ビル・コンティ

Bill Conti　

　１９４２年、ロードアイランド生まれ。何といっても、ロッキーのテーマを作曲した人として有名。シリーズで製作も兼ねたシルヴェスター・スタローンは、同じイタリア系の作曲家としてコンティに白羽の矢を立てますが、彼がピアノで幾つかのアイデアを弾いてみせた時、主人公の人生を音楽で完全につかみ取っている事に驚いたといいます。有名なテーマ曲だけでなく、感動的なクライマックスの音楽や、ピアノでアレンジしたリリカルなテーマ曲のヴァリエーションなど、情感の面にも卓越した才能を発揮。

　実はめちゃくちゃ多作な人ですが、有名なものが少なく、打率の悪いのが難点。『ロッキー』のジョン・G・アビルドセン監督作や『ライト・スタッフ』などが知られていますが、ポール・マザースキー監督の初期作品は秀逸で、『ハリーとトント』『結婚しない女』のピアノを生かした叙情的なスコアは忘れ難いもの。その後は、アカデミー賞の授賞式で音楽監督を務めたりもしています。

＊お薦めディスク

『００７／ユア・アイズ・オンリー』

　For Your Eyes Only　（１９８１年　ダニアーク）

　コンティが音楽を担当した唯一の００７作品。スコア自体はさほどとは思わないですが、主題歌が素晴らしいので取り上げました。歌うのはシーナ・イーストン。６０年代、７０年代の主題歌とは違って、ポップなAOR風バラードですが、スタティックでニューエイジっぽいAメロと、個性的なメロディでスケール大きく盛り上がるサビの対比が見事です。個人的には、『００７／私を愛したスパイ』と並んで特に好きな００７主題歌。世間にも好きな人が多いのか、ラジオでよく流れています。

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